米欧など国連18カ国、ウイグル問題非難 中国は反発

【ニューヨーク=吉田圭織】米国、英国やドイツなど18カ国の国連代表部は12日、非政府組織(NGO)とともに中国新疆ウイグル自治区の人権状況を議論するオンライン行事を開催し、ウイグル族の人権侵害を非難した。一方、中国は「政治的な思惑があり、実際は中国を封じ込めようとしている」と反発した。
参加した米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は「新疆では人間が拷問され、女性は強制不妊手術を受けさせられている」と指摘し「中国政府が新疆でウイグル族や他の少数民族に対してジェノサイド(民族大量虐殺)や人道に対する罪をやめるまで声を上げ続ける」と強調した。
英国のウッドワード国連大使は「新疆の状況は現代における最悪の人権危機だ」と述べ、国連人権高等弁務官の実態調査のための現地入りを求めた。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)のケネス・ロス代表は「100万人のウイグルが拘束されていると推定している」と述べ、国連人権理事会での決議採択や安全保障理事会での議論を呼びかけた。ロス代表は中国の広域経済圏構想「一帯一路」について「条件付きで新疆での残虐行為を批判しないことや、国連で中国についての決議に反対するよう求められている」と言明した。
中国代表は新疆でジェノサイドや強制労働が実施されているという欧米などの主張に対し「今世紀最大のウソだ」と否定した。「新疆(問題)を利用して中国の封じ込めを目指す試みは必ず失敗する」と強調した。中国代表部は10日、イベントに先立ち「強い不満と断固たる反対を表明し、即時に中止するよう開催者に求める」との声明を出していた。