米中間選挙、支持政党敗北なら「不正疑う」3割に

【ワシントン=赤木俊介】11月の米中間選挙で自身の支持する政党が連邦議会の過半数を握れなかった場合、選挙の不正を疑う成人が全体の3割に達することが分かった。2020年の大統領選挙を巡ってはトランプ前大統領の支持者らがバイデン氏の勝利を認めず、連邦議会議事堂の占拠事件に発展した。選挙への不信感から、中間選挙でも混乱が起きる懸念がある。
米ニュースサイトのアクシオスと調査会社イプソスが9月下旬、米国の成人を対象に世論調査を実施した。「中間選挙で支持政党が議会の過半数を勝ち取らなかった場合、選挙不正を疑うか」と聞いたところ、共和党支持者の39%、民主党支持者の25%が「選挙不正を疑う」と回答した。「不正を疑わない」と回答した共和党支持者は36%、民主党支持者は60%だった。
20年の大統領選でのバイデン氏勝利を受け入れていない中間選挙の候補者も多い。米紙ワシントン・ポストが州知事や州務長官、司法長官を含む州政府の候補や連邦議会上院・下院議員候補を調べたところ、48の州で計291人の共和党候補者が20年の大統領選の結果を公に否定したり、疑問視したりしているという。中間選挙の激戦州の候補者も含まれている。
米選挙分析サイトのファイブ・サーティー・エイトは13日、中間選挙で全米の投票用紙の6割に、20年の大統領選の結果を否定する候補者名が記載されると分析した。連邦議会の過半数を左右する激戦州の南西部アリゾナ州や南部ジョージア州、東部ペンシルベニア州にもこうした候補者がいる。党派間の争いが激化するなか、選挙結果を受け入れない候補者や有権者が増える可能性がある。
中間選挙に向けた予備選挙の段階ですでに緊張感が高まっている。7月には、共和党の予備選票の再集計をしていた西部コロラド州の投票所に選挙不正を疑う人々が押し寄せ、「ストップ・ザ・スティール(選挙の奪取をやめろ)」と訴えた。
米国土安全保障省傘下のサイバーセキュリティー専門機関(CISA)は10月3日、電子投票機や郵便・不在者投票の信頼性を訴え、選挙不正の可能性は極めて低いと説明した。共和党上院トップのマコネル院内総務は8月、米NBCの取材で「(選挙不正を)心配する必要はない。米国の民主主義は盤石だ」と述べた。