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AppleCEO、巨大IT規制に懸念 「消費者にリスク」

(更新)

【シリコンバレー=白石武志】米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は12日に首都ワシントンで講演し、欧米の立法府が制定に動く米巨大IT(情報技術)企業への包括規制が消費者のプライバシーをリスクにさらすとの懸念を表明した。スマートフォン「iPhone」上でアプリ配信の市場開放が義務付けられれば「予期せぬ重大な結果を招く」とも警告した。

「ここワシントンやその他の地域で、政策立案者は競争の名の下に(正規ストアの)『アップストア』を迂回するアプリをiPhoneに入れるよう、強制するような措置をとっている」。規制当局関係者らでつくる国際プライバシー専門家協会(IAPP)が12日に開いたイベントに登壇したクック氏は、いつになく強い調子で政治的な主張を繰り広げた。

クック氏の念頭にあるのは、欧米の立法府が制定に動く巨大IT企業に対する包括規制だ。米上院で審議中の「アプリマーケット開放法案」と3月下旬に欧州連合(EU)が合意した「デジタル市場法案」は、いずれもアップルが独占してきたiPhone上のアプリ配信や決済市場について外部開放を義務付ける内容だと解釈されている。

アップルはプライバシーを基本的人権と位置づけ、iPhoneなどの自社製品上で個人情報の収集や追跡を段階的に制限してきた。12日もネット広告を収益源とする企業群を「データ産業複合体」と呼び、メタ(旧フェイスブック)やグーグルなどのライバルとひとくくりにされることを拒む姿勢を改めて示した。

クック氏はアプリ配信市場を外部企業に開放すれば「データに飢えた企業が我々のプライバシー規則を回避し、ユーザーの意思に反して再び彼らを追跡することが可能になる」と指摘。巨大IT企業の独占・寡占に歯止めをかけようとする包括規制が逆効果となるリスクに言及した。

クック氏は「いまはプライバシーの闘いにおける極めて重要な瞬間だ」とも訴えたが、約15分の講演の最中に大きな拍手が起きたのは米国における包括的な個人情報保護法の制定を呼びかけた場面だけ。会場に詰めかけたプライバシーの専門家らが独禁規制に関する発言に表だって賛意を示すことはなく、熱弁を振るうクック氏との温度差が目立った。

前日には米連邦取引委員会(FTC)のリナ・カーン委員長も同じイベントで演説し、デジタル市場で支配力を高める米巨大ITとの対決姿勢を改めて示した。プライバシー保護を大義名分に独禁規制の流れを変えようとするアップルの試みは、強まる包囲網に対する同社の焦りをかえって印象づけた。

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