米スタバ、デルタ航空と会員制度で提携 顧客囲い込み

【ニューヨーク=弓真名】米スターバックスは12日、自社の会員制プログラム「スターバックス リワード」を使って米デルタ航空のマイレージがためられるサービスを同日から始めると発表した。有力な会員制サービスを提供する両社が提携を通じて顧客を囲い込む。顧客情報を増やして、サービスの改善や効果的な宣伝広告などに役立てる。
スターバックス リワードとデルタ航空のマイレージサービス「スカイマイル」の両方に登録している顧客が対象。サービスが適用される商品を1ドル購入するごとに1マイルがたまる。顧客がデルタの定期便を利用する日に限り、スターバックスでのポイントが2倍になるなどの特典がある。
スターバックスの会員は全米に約2700万人おり、この5年間で倍増した。今年初めに世界の主要企業の会員サービスと提携するプログラム「リワード・トゥギャザー」を発表し、提携先企業を増やす方針を示していた。
スターバックスは会員制プログラムを通じて顧客情報を集め、出店戦略の立案などに役立てている。22年4~6月期は会員を通じた売上高が全体の53%を占めた。プログラムの加入者を増やしてリピート客の獲得をねらう。
デルタが運営するスカイマイルの加入者数は世界で約1億人にのぼる。同社はすでに民泊仲介サイト大手のエアビーアンドビーや配車サービス大手のリフトなどとマイレージで提携している。各分野で大手企業と協働することで利用者の囲い込みにつなげている。
2022年にPwCグループが米国の4000人以上を対象にした顧客調査によると、特定の企業のサービスを定期的に利用する理由として5割強が「お得感があること」と回答し、3割が「会員プログラムなどで得られる特典やサービスが魅力的であること」と答えている。インフレで消費者の負担が高まるなか、「お得感」を強調した会員プログラムの提携がさらに拡大する可能性がある。
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