メキシコ中銀、2会合連続利上げ 食料品上昇に対応

【メキシコシティ=宮本英威】メキシコ銀行(中央銀行)は12日、金融政策決定会合を開き、政策金利を0.25%引き上げて4.5%にすると発表した。利上げは2会合連続。新型コロナウイルスの感染状況は悪化しているが、食料品やエネルギーの価格が上昇しているのに対応した。
5人の委員のうち3人が利上げを主張して多数決で決めた。2人は据え置きを訴えた。中銀は前回6月の会合で2年半ぶりの利上げを決めた。この際も3対2の多数決の決定で、2会合連続で全会一致とはならなかった。
7月の消費者物価指数は前年同月比5.81%の上昇だった。中銀の目標上限(4%)を上回るのは5カ月連続。1年前は新型コロナの感染によりエネルギー価格が下がっており、その反動の影響はあるが、インフレはおさまっていない。
メキシコの主食であるタコスに用いるトルティーヤやタマネギ、牛肉などの価格が干ばつの影響で上昇している。ワクチンの接種を完了した人々を中心に行き来も増えており、航空券も値上がりしている。
中銀はこの日の声明で「インフレ期待が上方に動いており、中長期で目標を上回っている」と指摘した。中銀は2021年10~12月期の物価上昇率見通しを5.7%とした。6月時点では4.8%とみており、引き上げた。中銀の目標範囲内に入る時期は22年4~6月期とした。
メキシコの経済状況も改善傾向にはある。中銀が民間銀行など37機関の予測をまとめて2日に公表した調査では、21年の実質経済成長率見通しは6.06%と、7月公表(5.8%)からは上方修正となった。米景気回復の恩恵で輸出が堅調に推移している。
国際商品価格の上昇によるインフレの加速を受けて、世界の新興国では利上げが相次いでいる。ブラジルは4日、ロシアは7月23日に、いずれも4会合連続の利上げを決めた。
新興国中銀の利上げには、米連邦準備理事会(FRB)による金融政策の正常化への動きも影響している。6月には利上げ時期の見通しを24年以降から23年に前倒ししており、FRBが重視する雇用情勢も良好な結果が続いている。