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米物価3月2.6%上昇 財政出動で需要増

 屋外席が満席でにぎわう米首都ワシントンのレストラン=共同

【ワシントン=大越匡洋】米国の物価の伸びが加速している。米労働省が13日発表した3月の消費者物価指数(CPI、1982~84年=100)は前年同月比の上昇率が2.6%と2018年8月以来、2年7カ月ぶりの高い伸びとなった。新型コロナウイルス危機で経済活動が鈍った1年前の反動に加え、巨額の財政出動による需要増が物価を押し上げた。

3月の伸びは市場予測(QUICK・ファクトセット集計、2.5%)を上回り、2月の1.7%から加速した。一時的な景気の過熱か、インフレが続くのか、政策判断にとって重要な局面に入った。夏場にかけて伸びが3%を超えるとの見方も出ている。

前月比でみても0.6%上昇した。2月の伸び(0.4%)から加速し、12年8月以来、8年7カ月ぶりの高水準となった。

変動の激しいエネルギーと食品を除くと上昇率は前年同月比で1.6%、前月比では0.3%だった。2月より伸びは拡大した。

1年前と比べた物価上昇の内訳をみると、全体を引っ張ったのはエネルギーだ。特にガソリンは22.5%上昇した。昨春に急落した原油価格は産油国の協調減産などで回復。中古車価格も9%上昇した。経済再開に景気回復への期待が重なった。

一方、サービス分野に目を向けると、回復の浸透はまだ十分とはいえない。ヒトの動きを映す航空料金は前月比では0.4%上昇と、5%下落だった2月から反転した。それでも前年同月比では15%下落し、1年前の水準を大きく下回る。

前月に比べ4.4%上昇したホテルも前年同月比では7.6%下落。供給要因や投資マネーの影響で大きく変動する資源価格などの影響を除き、景気の回復が広くサービス価格の上昇という形で行き渡るにはまだ時間がかかりそうだ。

コロナ禍の前、物価は2%前後の伸びで推移していた。コロナ感染が急速に広がり始めて上昇幅は鈍り、20年4、5月は0%台前半に沈んだ。ここに来てワクチン普及で経済が動き始め、財政出動による需要創出が加わって物価を押し上げている。

米セントルイス連邦準備銀行によると米経済の需給ギャップは20年4~6月にマイナス10%と、金融危機後のマイナス5%前後を上回る需要不足に陥った。20年末までに米議会とトランプ前政権は計4兆ドル(約440兆円)近くの財政出動を相次いで決め、20年10~12月に需給ギャップはマイナス3%に縮小した。

21年1月に発足したバイデン政権はさらに財政出動を積み増した。3月に実現した対策は1.9兆ドル。その前に米シンクタンク「責任ある連邦予算委員会(CRFB)」は23年までの需要不足を計7千億ドル程度とみた。1.9兆ドルはその3倍近い。

21年中に需要が供給を上回り、さらに超過幅が広がるとの見方からインフレ懸念が出ている。米連邦準備理事会(FRB)は少なくとも23年末までゼロ金利を続け、一時的に物価上昇率が目標の2%を上回るのを容認して景気回復を確実にする構え。市場では早期の緩和縮小観測が強まる可能性がある。

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