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米国、気候変動対策で巻き返し 再生エネ支援拡大

歳出・歳入法案が成立へ

【ヒューストン=花房良祐、ワシントン=鳳山太成】米議会下院が12日、気候変動対策を柱とする歳出・歳入法案を可決した。バイデン政権は気候変動対策に積極的に取り組む姿勢を打ち出していたが、立法化が遅れていた。過去最大規模の対策で巻き返しを急ぎ、2030年に温暖化ガス排出量を05年比で5割削減するとの目標に向け前進する。関連する産業には商機が広がりそうだ。

上院で修正される前の原案によると、約4300億ドル(約58兆円)の歳出のうち、約8割にあたる約3700億ドルを気候変動対策とエネルギー転換支援に投じる。米シンクタンクのエナジー・イノベーションなどによると、温暖化ガス排出量の削減幅は従来の政策が続いた場合は2~3割にとどまるが、法案成立で約4割に拡大する。

再生可能エネルギーでは、太陽光や風力などの発電や設備投資への税額控除を延長・拡充する。発電量の2割を占める再生エネのさらなる普及をめざす。

太陽光や風力の発電を手掛ける米パターン・エナジーのマイク・ガーランド最高経営責任者(CEO)は「発電や投資への税額控除は市場拡大を加速し、コストの引き下げに大きく貢献する」と述べた。

脱炭素ビジネスの離陸も促す。エネルギー業界が求めていた二酸化炭素(CO2)の貯留・回収(CCS)の支援を強化。CO2を1トン回収するごとに与えられる税額控除を従来の50ドルから85ドルに引き上げる。

石油業界はCO2を地中に埋める技術を得意としており、石油大手エクソンモービルは米メキシコ湾で巨大なCCSプロジェクト計画を進める。石油メジャーの長期的な成長性に疑念を抱く投資家も多く、各社はCCSビジネスを新たな事業の柱に育てる考えだ。

CO2をほとんど排出せずに製造した水素については1キログラムあたり3ドルを税額控除する。再生エネから製造した「グリーン水素」のコスト競争力が大幅に向上する。ガス火力発電所の燃料に水素を混ぜる構想が相次いでおり、電力部門の脱炭素化に弾みがつきそうだ。

石油業界などへの配慮の結果、メキシコ湾での海底油田開発を促進するといった項目も含まれた。ただ、エナジー・イノベーションによると、それを差し引いても大幅な排出削減につながる。

環境団体から歓迎の声が上がるなか、エクソンのダレン・ウッズ最高経営責任者(CEO)も議会の採決に先立つ7月末、「正しい方向への一歩だ」と話した。米戦略国際問題研究所(CSIS)のジェーン・ナカノ氏は「関連する業界を罰するのではなく(投資の)インセンティブを与えることで気候変動対策を進めようとしている」と評価する。

バイデン政権は2021年1月の発足以降、気候変動対策を盛り込んだ歳出・歳入法案の可決を目指してきたが、与党・民主党の内部対立で審議が難航した。審議の遅れは企業戦略にも影響し、パターン社ではプロジェクト1~2件に相当する60億ドルの投資を保留した。議会は合意可能な分野に絞り、中間選挙が迫るタイミングで可決へこぎ着けた。

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