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米、インドへ安価に武器供与へ 首脳協議では溝も

【ワシントン=坂口幸裕、ムンバイ=花田亮輔】米国とインドによる11日の高官協議では、ロシアを巡る姿勢の違いが改めて浮き彫りになった。ロシアからの原油輸入を拡大しないよう促す米国に対し、インドは立場を明確にしなかった。米国はインドに安価に武器を供与する方針を打ち出すなどして、ロシアとの関係にくさびを打ち込もうとしている。

バイデン米大統領は11日、インドのモディ氏とのオンライン協議で「ロシアからの石油輸入を増やすことはインドの利益にならない」と強調した。モディ氏は輸入については触れず「ロシアとウクライナの対話が平和への道を開くと願っている」などと述べるにとどめた。

ウクライナに侵攻したロシアは、米欧が対ロシア制裁の一環で原油輸入を大幅に減らした分を、インドに低価格で購入するよう打診した。ロイター通信によると、2月下旬のウクライナ侵攻以降、インドは少なくとも1300万バレルの原油を購入。価格引き下げを受けて輸入量を大幅に増やしたもようだ。

首脳協議後に開いた米印の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)でもエネルギー問題が議題になった。ブリンケン米国務長官は終了後の共同記者会見で「国によって事情が異なるが、同盟国や有志国にはロシアのエネルギー購入を増やさないよう求めている」と話した。

一方、ブリンケン氏の隣で質問に答えたインドのジャイシャンカル外相は「我々はエネルギー安全保障のために必要なエネルギーを購入している」と語り、国益に照らして判断すると強調した。ロシアにエネルギー面で依存する欧州に触れ「インドの1カ月の総購入量は欧州の1日の量よりも少ないだろう」と指摘した。

安全保障面では米国がインドとの防衛面での強化を打ち出し、歴史的に結びつきが深いロシアとの関係にくさびを打とうと模索した。オースティン国防長官は記者会見で武器供与について「インドの近代化ニーズをどう支援するのが最適か議論している。米国のシステムをより安価にするための様々な選択肢も含んでいる」と明言した。米国の武器は高額で、インドによる調達を難しくしている面があるためだ。

背景にあるのは、インドとロシアの安全保障面での強固な協力関係だ。カシミール地方の領有権を争うパキスタンに対して米国が軍事支援を続けてきた経緯もあり、インドは米国ではなく旧ソ連に武器調達で依存するようになった。

今でもロシアはインドにとって最大の武器調達先となっている。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の調査によると、インドの16~20年の武器輸入に占めるロシアの割合は49%に上る。ロシアにとっても武器輸出総額の23%がインド向けだった。

ロシアから地対空ミサイル「S400」を購入したインドに対する、米国の制裁の扱いを巡っては結論は出なかった。ブリンケン氏は会見で「ロシアの兵器の大規模な新規取引を避けるよう要請している。制裁や免除については決定していない」と述べるにとどめた。

米国は17年に制定した「敵対者に対する制裁措置法」で、ロシアから大規模に兵器調達する国に制裁を科せるようになったが、米議会にはインドとの関係を優先して制裁を発動すべきではないとの意見が根強くある。

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