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米英、ロシアの化学兵器使用を警戒 偽情報の流布受け

【ワシントン=坂口幸裕】米英はロシアがウクライナ侵攻の過程で化学・生物兵器を使用する恐れがあると警戒を強めている。ロシアがウクライナで生物兵器が製造されていたと偽りの主張を始めたのは、でっち上げた情報を口実に自ら使おうとしている前兆だと分析しているためだ。

バイデン米大統領は11日の記者会見で、ロシアのプーチン大統領が化学兵器でウクライナを攻撃すれば「厳しい代償を科す」と警告した。化学兵器を使った場合、米国が軍事行動に出るかどうかを問われて答えた。ロイター通信によると、ジョンソン英首相は10日、ロシアがウクライナで化学兵器を使用する恐れがあると表明した。

化学・生物兵器を使用するとの懸念が高まったのはロシアが虚偽の情報を流したのが発端だ。在英ロシア大使館は9日、ロシア外務省のザハロワ報道官の話として「最近発見された文書によると、米国防総省の資金提供を受けたウクライナの研究所で生物兵器の部品が製造されていた」とツイッターに投稿した。

米側は即座に反論した。サキ大統領報道官は9日、ロシアが虚偽の主張を展開していると批判。ツイッターに「ロシアがウクライナで化学兵器や生物兵器を使う可能性に警戒する必要がある」と投稿し、中国がロシアの陰謀に加担しているとも指摘した。

米国防総省高官は10日、ウクライナには疫学・感染症や獣医学などの5つの生物研究所があるとしたうえで「炭疽(たんそ)菌や結核、豚熱など人や動物に感染する病原体を研究している」と話した。

米国が2005年からウクライナの研究所を支援するために2億ドルを投じ、旧ソ連がウクライナに残した生物兵器を除去する事業に関わったとも説明。「ウクライナにも世界にも国防総省の生物兵器研究所は存在しない」と否定した。

ヘインズ米国家情報長官は10日、米議会で「ロシアのプロパガンダ(宣伝活動)の一環であり、ロシアによる古典的なやり方だ」と断じた。「原子力発電所などと同じように(施設から)研究材料が持ち出されれば、ロシアに悪用される可能性がある」との認識も示した。ロシア軍は核物質を扱うウクライナの研究所も攻撃している。

サキ氏は10日、特定の案件を示さなかったものの「ロシアは化学・生物兵器を使用した前歴がある」と述べた。米政府はロシアがこれまでも化学兵器の技術を使って、野党指導者らプーチン政権に批判的な人物の毒殺を図ってきたとみている。トランプ前政権はロシアが後ろ盾になっているシリアのアサド政権が化学兵器を使った疑惑を受けて空爆に踏み切った経緯もある。

国連安全保障理事会は11日、ロシアの要請で開いた緊急会合で「米国がウクライナと生物兵器開発に関わっている」とするロシアの主張について協議。米英などは「ロシアの主張は虚偽だ」と訴えた一方、ロシアは「西側諸国がロシアのプロパガンダだと反応するのは予想していた」と反発するなど非難の応酬が続いた。

1975年に発効した生物兵器禁止条約は生物兵器の開発や生産、貯蔵などを禁じている。米国とロシア、ウクライナはいずれも締約国だ。

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