/

米憲政の惨事「目前だった」 トランプ氏、最後の抵抗 

議会占拠事件の内幕本「PERIL」 共著者のウッドワード氏ら語る

1月に起きた米連邦議会占拠事件など米政権移行の混乱を描いた「PERIL 危機」を記した著名ジャーナリストのボブ・ウッドワード氏が、共著者のロバート・コスタ氏と日本経済新聞のオンライン取材に応じた。トランプ前米大統領に選挙結果を覆すよう迫られたペンス前副大統領が直前まで迷い続けるなど「米憲政の大惨事は目前だった」と緊迫の局面を振り返った。

「PERIL」の邦訳版は近く刊行になる。コスタ氏は「議会占拠事件前夜の1月5日の場面が突出していた」と語り、ホワイトハウスに近いホテルに大統領選の確定阻止を狙うトランプ氏側近が集結していた事実などを明らかにした。

米大統領選は各州に割り当てた選挙人の過半数を得た民主党のバイデン大統領が勝利したが、共和党のトランプ氏は選挙に不正があったと訴えて抵抗した。同書は副大統領の進行で次期大統領を正式選出する1月6日の上下両院合同会議を目前に、トランプ氏がペンス氏に選出を妨害し、自分を勝者にするよう迫る場面を再現している。

ウッドワード氏は「ペンス氏は(憲法の手続きと)違う方法を模索していた。トランプ氏を怒らせたくなかった」と指摘。最終的にバイデン氏選出が確定したが「ペンス氏がトランプ氏に従い、過程を妨害することはそれほど困難ではなかった」と述べ、米民主主義が深刻な危機の瀬戸際にあったと振り返った。

「安全保障の危機も(選挙前後の)全体の時期に起きていた」と同氏は言明した。大統領選直前の2020年10月30日、米軍トップのミリー統合参謀本部議長は、米国が中国を攻撃する計画だと中国が信じているという機密情報を知ったと「PERIL」は記している。

議会占拠事件の2日後の21年1月8日、ミリー氏は中国人民解放軍トップの李作成統合参謀部参謀長に電話で中国を攻撃する意図はないと明言した。「中国だけでなくロシアもイランも軍事的な警戒を敷いていた。未知の危機だった」とウッドワード氏は語った。

同書には事件後、民主党のペロシ下院議長がミリー氏に対し、トランプ氏に核兵器を使った攻撃を起こさせないよう確証を求める場面がある。ウッドワード氏は「ミリー氏はトランプ氏が精神的な衰弱を起こしていると判断していた」と説明し「50年近くこの(記者の)仕事をしてきたが、最も異常なやりとりの一つだった」と述べた。

コスタ氏は議会占拠事件の前夜にホテルで顧問弁護士のジュリアーニ元ニューヨーク市長、元首席戦略官のバノン氏らトランプ側近が「翌日のイベントが法律的、政治的、憲法的にどう進むかを計画していた」とも指摘。「暴動事件は誰が指揮したのか、ホワイトハウスやトランプ氏側近の協力の有無など未解明の疑問がある」と述べた。

バイデン大統領についてコスタ氏は「就任当初から民主党の急進派と手を組み、『変革的』という言葉を多用した」と述べ、本来の中道派から左傾化した政治の立ち位置が「バイデン氏本人と民主党にとって、22年(の中間選挙)に向けた大きな試練になる」との見方を示した。

(ワシントン支局長 菅野幹雄)

Bob Woodward ワシントン・ポスト紙でウォーターゲート事件へのニクソン大統領の関与を特報した著名ジャーナリスト。歴代米大統領に関する多数の著書を記す。78歳。
Robert Costa 米ワシントン・ポスト紙の政治担当記者。米テレビ局の番組司会や政治アナリストを経て現職。36歳。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

バイデン政権

アメリカの「バイデン政権」に関する最新ニュースを紹介します。その他、日米関係や米中対立、安全保障問題なども詳しく伝えます。

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン