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メキシコ野党、選挙制度巡る改憲案に「与党優位」と反発

【メキシコシティ=清水孝輔】メキシコの野党勢力が、国政選挙の改革につながる与党の憲法改正案に反発し、対立が深まっている。選挙管理当局の一部メンバーと上下両院議員の選出方法の変更を含む内容で、2024年の次期大統領選を巡り「与党に有利な制度変更になる」と野党側は主張している。

ロペスオブラドール大統領は27日、メキシコシティの目抜き通りを多数の市民と行進し、自身への支持の高さを誇示した。複数の市民団体が11月中旬、メキシコ各地で実施した改革案への反対デモに対抗した形だ。このデモには有力野党、制度的革命党(PRI)の党首ら複数の国会議員も参加した。

改憲案は4月、ロペスオブラドール氏が議会に提出した。概要は①大統領選や上下両院選を管理する当局である国家選挙庁(INE)の名称を「国家選挙国民投票庁(INEC)」に改め、公募枠の11人を7人に減らしたうえで国民投票で選出②地方の選管当局を廃止し、中央に集約③上下両院で比例代表制を廃止し、全議員を選挙区で選出④定数は下院が現行の500から300に、上院は同128から96に削減――などだ。

現状で公募枠のメンバーは就任に際し、下院で3分の2以上の賛成を得る必要があるため、野党が反対する候補を選ぶのは難しい。

ロペスオブラドール氏は、改憲が実現すれば、選管当局のメンバー選びに民意を反映できると主張する。約240億ペソ(約1700億円)の歳出削減を見込めるとも訴える。

野党は「民主主義を脅かす」と猛反発する。メキシコの経済紙フィナンシエロの世論調査によると、ロペスオブラドール政権の支持率は6割近い高さだ。比例代表制の廃止は同氏の与党、国家再生運動(MORENA)に有利で、少数政党が議会での影響力を失うというわけだ。

背景には24年の次期大統領選がある。大統領の再選は禁じられ、ロペスオブラドール氏は出馬できない。MORENAは23年に同氏の後継を目指す大統領候補を党内で選ぶ見通しだ。大統領候補は23年後半、選挙運動を本格化させる。24年には上下両院選のほか、一部の州で知事選が予定される。MORENAは23年の改憲を目指している。

MORENA所属のメキシコシティ市長、クラウディア・シェインバウム氏は改憲案を支持する意向を示している。

改憲が実現するかどうかは不透明だ。MORENAが軸の与党連合は上下両院でそれぞれ過半数を確保するが、改憲に必要な各院での3分の2には足りない。

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