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チリで左派のボリッチ政権発足、ビジネス停滞リスクも

【バルパライソ(チリ中部)=宮本英威】南米チリで11日、左派のガブリエル・ボリッチ氏が大統領に就いた。1990年の民政移管後で最も若い36歳での就任だ。格差是正や環境配慮を重点施策に掲げて大統領選に勝利。チリが長年重視してきた自由貿易の拡大には慎重な立場で、ビジネス環境が停滞するリスクもはらんでいる。

「チリ国民の前で私は約束します」。ボリッチ氏は11日昼、首都近郊の港湾都市バルパライソにある議会で宣誓した。ネクタイをつけない自身のスタイルを維持したまま就任式に臨んだ。

閣僚を前に「男性よりも女性が多い内閣を誇りに思う。フェミニズム運動のたまものだ」と語った。24閣僚のうち14人が女性で、地元メディアによると平均年齢は42歳と若い。式典にはボリッチ氏が重視する少数民族の衣装をまとった参加者も目立ち「転換」が印象づけられた。

チリではピノチェト軍事政権(73~90年)下で、米シカゴ大出身者が貿易や投資の規制を緩和して経済成長をなし遂げた。民政移管後も市場経済と自由貿易を重視する路線は変化なく、中南米で有数の豊かな国となった。

ただ貧富の格差は歴然としている。経済協力開発機構(OECD)によると、所得格差をあらわすジニ係数はチリは0.46と、対象40カ国の中で南アフリカ、中米コスタリカについで格差が大きい。ボリッチ氏は就任式直後には「国としての課題に立ち向かうために最善を尽くす」と意欲を示した。

ボリッチ氏は富裕層や鉱山会社に増税し、社会保障の拡充により格差を是正したい考えだ。当初の選挙公約には「環太平洋経済連携協定(TPP)を含む新たな貿易協定には署名しない」との記述があった。ただ選挙戦の後半以降は言及が目立たない。

ウレホラ外相は就任前の2月、管轄する自由貿易協定(FTA)について「議論を継続しなくてはいけないテーマだ」と述べたが、踏み込んだ発言は控えている。チリに進出する日本企業の間では「ボリッチ政権は通商面では実務的に対応していく」と「現状維持」を期待する声もある一方で、環境悪化を警戒する見方も根強く残っている。

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