Google、スマートウオッチに参入 Pixel Watch今秋発売

【シリコンバレー=奥平和行】米グーグルは11日、スマートウオッチなどと呼ぶ腕時計型端末の販売に乗り出すと発表した。「Google Pixel Watch」を今秋に発売する。同市場では2015年に「Apple Watch」を発売した米アップルが先行しているが、強みを持つ人工知能(AI)などを活用してコンピューターの新たな使い方を提案する。
同日に開いた開発者会議「グーグルI/O」で発表した。Pixel Watchは同社が開発し、韓国サムスン電子などで採用実績のある基本ソフト(OS)「Wear OS」を搭載する。21年に買収したウエアラブル機器メーカー、米フィットビットの技術も活用する。
音声AIサービスやナビゲーションシステム、店舗での電子決済サービスなどの利用が可能で、「Google Play」からアプリを取り込んで使うこともできる。グーグルのOS、アンドロイドを搭載したスマートフォンと組み合わせて利用するほか、携帯通信機能を組み込み単独で使える製品もそろえる。価格は明らかにしていない。
グーグルはインターネット検索サービスが主力で、アンドロイドを世界のスマホメーカーに無償提供して検索のサービスの利用を増やしてきた。ただ、技術の高度化を背景にソフトとハードウエアを連携させる必要性が高まっていることから、独自開発したスマホなどの機器を拡充してきた経緯がある。
独自ブランドであるピクセルの展開を13年に始め、現在はスマホやワイヤレスイヤホンといった製品を扱っている。開発者会議でリック・オステロー上級副社長はスマートウオッチの追加について「ピクセルシリーズの拡張の自然な方向性だ」と述べ、複数の機器を組み合わせて利便性を高める戦略を加速する方針を示した。こうした取り組みではアップルが先行していた。

香港の調査会社、カウンターポイントリサーチによると、21年のスマートウオッチの世界出荷台数は1億3200万台だった。過去4年間の年平均成長率は18%に達している。21年の世界シェアはアップルが首位で30%を確保した。2位以下にはサムスン、中国の華為技術(ファーウェイ)が続いている。