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FRB議長「保有資産縮小、22年後半にも」 再任公聴会

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【ニューヨーク=斉藤雄太】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は11日、米上院での再任承認に向けた公聴会で、雇用回復やインフレ高止まりへの懸念を踏まえて「金融政策の正常化を進める」と重ねて表明した。「年内に利上げを始め、おそらく年後半に保有資産の縮小を始めるだろう」と語った。

パウエル議長は米国の失業率が低下を続けて足元で4%を下回ったことを挙げ「労働市場は信じられないほど急速に回復している」と述べた。他方で物価上昇率は2%の目標を「はるかに上回る水準で推移している」と指摘。このため「新型コロナウイルス禍に対応するための多様かつ極めて緩和的な政策を経済はもはや必要としていない」と強調した。

FRBは国債などを大量に購入する量的緩和を段階的に縮小しており、3月に資産購入を終えてから金融引き締めにあたる利上げを始める構えだ。パウエル議長は「高インフレが予想より長く続くと判断した場合は、時間をかけてより多くの利上げが必要になるかもしれない」と述べた。「高インフレは最大雇用の達成や、それを可能にする長期的な景気拡大をなし遂げるうえで深刻な脅威だ」とも指摘し、インフレ対応の引き締めに意欲を示した。

すでに他の複数のFRB高官は、早ければ3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを決める意向を示している。金融市場でも同様の見方が優勢で、米欧の大手金融機関では2022年中にFRBが4回利上げするとの予想も増えている。

ただパウエル議長は利上げの開始時期については言及を避けた。その後の引き締め策になる保有資産の縮小も、約9兆ドルの総資産が「必要な水準をはるかに超えている」として過去の正常化局面より圧縮を急ぐ考えは示したが、詳細はこれから議論すると述べるにとどめた。

現在の緩和的な金融環境を「正常化するまでは長い道のりになる」とも語った。FRBが過度に引き締めに積極的な「タカ派」になったとの印象を与え、金融市場が動揺するのを避けたいという意図もにじんだ。11日の米市場では長期金利が低下(債券価格は上昇)し、公聴会の途中まで前日比で下げていたダウ工業株30種平均は上昇に転じた。ダウ平均の終値は約180ドル高になった。

FRBは世界で感染者が急増する新型コロナの変異型「オミクロン型」の影響を見極める必要もある。パウエル議長は中国のコロナ抑制策の強化などで「サプライチェーン(供給網)が再びゆがむ可能性がある」と指摘した。

公聴会では気候変動リスクへの対応も論点になった。与党・民主党がFRBの関与の拡大を求めるなか、パウエル議長は「今後数年間にわたり非常に重要な優先事項になるだろう」と述べた。大手金融機関が気候変動に伴うリスクをどの程度抱えているのかを調べる「シナリオ分析」が金融監督上の重要なツールになるとの認識を示した。

公表が遅れている中央銀行デジタル通貨(CBDC)の報告書については「数週間以内に発表する予定だ」とした。21年11月末の議会証言でも同様の発言をしていたが、発表の準備は整いつつあると強調した。将来的に米当局が「デジタルドル」を発行した場合でも、ドルなどを裏付けにした暗号資産(仮想通貨)の一種である「ステーブルコイン」とは共存できるとの考えも示した。

クラリダ副議長らFRB高官が不適切な金融商品取引で批判を受け、任期満了前に退任を迫られた問題も話題に上った。パウエル議長は個別株の購入禁止など幹部職員による金融取引を厳しく制限した新規則を説明し「新たな仕組みは私が今まで見た中で最も厳格なものだ」と強調した。

18年に就任したパウエル議長は2月に1期目の任期が切れる。21年11月にバイデン米大統領から再任指名を受け、米上院の承認を得るため11日の上院銀行・住宅・都市問題委員会に出席した。パウエル氏は与野党の支持が厚く、上院での再任承認はほぼ確実とみられている。

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