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米KKR創業者クラビス氏ら、共同CEO退任 世代交代進む

(更新)

【ニューヨーク=宮本岳則】米大手投資会社KKRは11日、創業者のヘンリー・クラビス氏(77)とジョージ・ロバーツ氏(78)が共同最高経営責任者(CEO)の職から退くと発表した。1976年の創業以来、買収ファンドの先駆者として成長をけん引してきた。テクノロジーの進化など投資環境が変化するなか、業界内では創業世代からの若返りが進んでいる。

共同社長を務めてきたスコット・ナトール氏(48)とジョー・ベイ氏(49)が11日、後任の共同CEOに就いた。クラビス氏とロバーツ氏は取締役会の共同議長として会社に残り、引き続き経営に関与する。経営トップの交代にあわせて企業統治の強化も発表した。創業者2人に特別な議決権を付与する構造を改め、「1株1議決権」に移行する。

旧米ベアー・スターンズ出身でいとこ同士のクラビス氏とロバーツ氏、彼らのメンター(助言者)だったジェローム・コールバーグ氏は76年5月、共同でコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)を設立した。コールバーグ氏が87年にKKRを離れた後も、クラビス氏とロバーツ氏が約45年間、経営の指揮をとってきた。2021年6月末時点の運用総額は4290億ドル(約47兆円)に達する。

KKRは1980年代のM&A(合併・買収)ブームで主役となった。米たばこ・食品大手RJRナビスコの敵対的買収を成功させると、攻防を描いた「野蛮な来訪者」が発売になり、KKRは「こわもて」の存在として語られた。現在はリスクマネーの供給者として社会の評価も改善した。2008年の金融危機以降はESG(環境・社会・統治)投資にも力を入れる。

KKRは06年に日本拠点を設立した。これまでパナソニックのヘルスケア事業を買収したり、米ウォルマート傘下だった大手スーパーの西友に出資したりした。クラビス氏はウォール街の知日派として知られており、21年6月には非営利の日米交流団体「ジャパン・ソサエティー」から表彰された。

米投資ファンド業界では創業者から次世代への権限委譲が進む。87年創業の米カーライル・グループでは18年1月、デビッド・ルーベンスタイン氏ら創業者がCEO職から退いた。米ブラックストーン・グループでも同年、ジョン・グレイ氏が社長兼最高執行責任者(COO)に昇格。85年に同社を創業したスティーブン・シュワルツマンCEOの後継者として、地位を固めつつある。

投資ファンド業界の競争環境は大きく変化している。価格が割安に放置された企業や資産に投資する傾向が強かったが、近年はテクノロジー関連企業の買収にも力を入れる。投資地域も従来の北米中心から欧州、アジアに広がっている。KKRの新共同CEOに就くベイ氏はアジア地域での投資拡大にかかわってきた。

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