米ファンドが新聞大手トリビューンと買収交渉 WSJ報道
【ニューヨーク=清水石珠実】米投資ファンドのアルデン・グローバル・キャピタルが、新聞大手トリビューン・パブリッシングの完全買収に向けて同社と話し合いをもっていることが分かった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が11日に報じた。早ければ、2月末までに合意する可能性もあるという。
アルデンは、すでにトリビューンの発行済み株式の3割以上を握る筆頭株主だが、2020年12月に全株を取得して完全子会社化を目指す提案を行っていた。トリビューンは20年末、アルデンの提案を精査するために社外取締役で構成する特別委員会を設立するとの声明を出して以降、新たなコメントはしていない。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、関係者は2社による話し合いは「まだ結論には遠く、まとまらない可能性もある」と話している。
アルデンは、買収した新聞社に大幅なリストラを迫って収益を上げる手法で知られる投資ファンドで、傘下に抱える新聞数ではすでに業界2位の地位にある。トリビューンは有力地方紙「シカゴ・トリビューン」や「ボルティモア・サン」などを抱える。アルデンによるトリビューン買収は「ローカル報道の衰退」につながるとして、地方政治家やジャーナリスト団体などから反対する声が出ている。