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米、「中国軍関連」投資禁止令発効 香港最大ETFに影響

(更新)
中国移動はNYSEで取引停止に(20年10月、北京市内の展示会)=AP

【ニューヨーク=宮本岳則、香港=木原雄士】米投資家による「中国軍関連」企業への投資を禁じる米大統領令が11日、発効した。ニューヨーク証券取引所(NYSE)では同日から中国移動(チャイナモバイル)など中国国有通信3銘柄を売買できなくなった。香港市場では最大規模の上場投資信託(ETF)が制裁対象銘柄への新規投資を停止するなど、影響が広がっている。

トランプ米大統領が2020年11月に署名した大統領令は、米東部時間11日午前9時半(日本時間同日午後11時半)に発効となった。国防総省が中国人民解放軍と関係が深いと認定した企業について、米国の投資家は認定の60日後から株式やデリバティブ(金融派生商品)などの売買ができなくなる。大統領令の公表時点で華為技術(ファーウェイ)など31社が認定されており、11日から取引停止の対象となった。

NYSEは制裁対象の中国移動と中国電信(チャイナテレコム)、中国聯通(チャイナユニコム)香港の米預託証券(ADR)売買を11日から停止した。NYSEは方針を二転三転させた末に3銘柄の上場廃止方針を決めた。監督官庁である米証券取引委員会(SEC)の承認を経て、正式に上場廃止となる。3社はNYSEに異議申し立てをする権利を持つが、今後の対応は明らかになっていない。

米大手金融機関も対応を迫られた。ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェース、モルガン・スタンレーの3社は香港取引所に上場するワラント(新株購入権)や株の値上がり・値下がりを予想して取引するブル・ベア型証券などの仕組み商品500銘柄の上場廃止を届け出た。いずれの商品も制裁対象企業と関係がある。世界最大の仕組み商品市場を抱える香港取引所は声明で「秩序ある上場廃止のため発行体と緊密に協力する」と強調した。

大統領令の影響はETFにも広がる。資産運用額で世界首位の米ブラックロックと同3位のステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズはハンセン指数などに連動するETFの運用を見直す。ハンセン指数には制裁に関連する中国移動や中国聯通香港、中国海洋石油(CNOOC)が含まれているためだ。

米ステート・ストリートはハンセン指数に連動する香港最大規模のETF「トラッカーファンド」で制裁対象企業に新規投資しないと表明した。運用資産残高は米ドル換算で約136億ドル(約1兆4000億円)。対象銘柄の現時点での持ち高は維持するという。ハンセン指数とETF価格の値動きが乖離(かいり)する可能性があると指摘したほか、米国投資家の売買には適さないと注意喚起した。

指数算出会社は制裁対象企業を組み入れから外し始めた。英FTSEラッセルは11日、中国移動など通信3社を複数の指数から除外した。FTSEはすでに11銘柄を除外している。米MSCIも世界株指数などから通信3社を追加で外した。指数への連動を目指すETFなど「パッシブファンド」への影響は大きい。

今後はバイデン次期政権と中国政府の出方が焦点となる。米メディアは米当局が中国のアリババ集団と騰訊控股(テンセント)を制裁対象企業に入れることを検討していると報じた。米機関投資家も多く保有するハイテク成長銘柄が投資禁止となれば、影響は甚大だ。20日に発足する米次期政権は大統領令の継続か撤廃かも含めて判断を迫られる。中国政府が報復措置に乗り出し、資本市場における米中分断が一段と進むおそれがある。

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