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イラン、核施設トラブル「イスラエルが関与」

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イランは核関連活動を拡大し続けている(国連で演説するイランのロウハニ大統領)=ロイター

イラン政府は12日、中部ナタンズの原子力施設で起きた電気系統のトラブルに、イスラエルが関与したと非難した。イランによる核関連活動の拡大を受け、両国の関係は急速に緊張が高まる。バイデン米政権が目指す核合意の復帰に暗雲が垂れ込めている。

イラン原子力庁によると、ナタンズの原子力施設で「破壊行為」により配電網が被害を受けたという。イラン外務省報道官は「今回もシオニスト(イスラエル)の手によるものだ。時と場所を選んで報復する」と指摘した。この施設は過去にサイバー攻撃を受け、イラン側はイスラエルや米国が関与したと批判した。

イスラエルのネタニヤフ首相は11日、「イランとの戦いは大きな任務だ」と述べ、関与を否定しなかった。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は複数の当局者の話として、施設で爆発が起き、ウランの濃縮活動に関連する電源が破壊されたと報じた。復旧に少なくとも9カ月以上かかるとも伝えた。イランはナタンズで10日、ウラン濃縮につかう改良型の遠心分離機を稼働させたばかりだった。

11日はオースティン米国防長官がバイデン政権の閣僚として初めてイスラエルを訪問し、ガンツ国防相と会談したタイミングだった。オースティン氏は会談で「イスラエルに対する米国の関与は不朽であり鉄壁だ」と伝えた。ガンツ氏は「イスラエルの防衛を確保するよう米国と緊密に協力する」と述べ、米国をけん制した。

ネタニヤフ氏は12日、オースティン氏との会談後の記者会見で「イスラエルを消滅させる核能力をイランが手に入れることは決して許さない」と強調し「イランの攻撃から自らを守り続ける」と述べた。ナタンズの核施設には言及しなかった。イスラエルは核合意について、イランの核開発を完全に禁止しておらず脅威が残るとみている。

バイデン政権はトランプ前政権下で離脱した核合意への復帰を目指し、欧州連合(EU)を介してイランとの間接協議を始めたばかり。イランを敵視するイスラエルは米国の対話姿勢に不信感を強めている。オースティン氏の訪問はイスラエル防衛への関与を改めて確認し、核合意復帰に向けてイランとの交渉を円滑に進める狙いがある。

しかし、イスラエルとイランの関係は急速に悪化している。イラン外務省は紅海で6日にイラン船舶が攻撃を受けたと公表し、イスラエルによる攻撃だとの見方が浮上したばかりだ。これまでも両国の対立が表面化し、核合意をめぐる対話の機運が後退してきただけに、バイデン政権がイスラエルに自制を効かせられるかどうかが核合意再建のカギになる。

トランプ前米政権ではイスラエルに肩入れした政策を連発して蜜月関係を築いたが、転機を迎えている。両国はパレスチナを巡っても隔たりが鮮明だ。米国務省は7日、パレスチナ支援に2億3500万ドル(約260億円)を充てると発表した。

トランプ前政権が全面停止した国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への資金拠出の復活を含む。これに対してイスラエルのエルダン駐米大使はUNRWAを「反ユダヤ主義的」とこき下ろし、米国による資金拠出再開に「強く反対する」と強調した。

バイデン政権下では米・イランの対立に歯止めがかかる可能性があるが、イスラエル側の対米不信が強まれば中東情勢の緊迫を招きかねない。(ドバイ=岐部秀光、カイロ=久門武史、ワシントン=中村亮)

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