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ウクライナ国境再び緊張 米、ロシアの侵攻警戒

【ワシントン=中村亮、モスクワ=石川陽平】ロシアとウクライナの国境付近で緊張が再び高まってきた。米国はロシア軍が大規模な部隊を国境近くに集めたと分析し、2014年に続くウクライナ侵攻を警戒する。同年に始まったウクライナ東部紛争の和平協議の行き詰まりを背景に、ロシア側と米ウクライナ側の双方が軍事行動を活発にしているとみられる。

米国防総省のカービー報道官は10日の記者会見で、ウクライナ国境でロシア軍が大規模な部隊を集結させたと改めて指摘し「異常だ」と断じた。ロイター通信によると、ウクライナ国防省は2日の声明で、ロシア軍9万人が集まっていると主張していた。ロシア軍は今春にも国境地帯に兵力を集結させ、撤収命令後も一部の部隊は残ったと伝えられている。

ブリンケン米国務長官は10日、国務省でウクライナのクレバ外相と会談した。会談後の共同記者会見で、ロシアが14年にウクライナ領クリミア半島を併合したことを念頭に「ロシアが14年の企てを焼き直すような深刻な過ちを犯すかもしれないと懸念している」と表明した。

クレバ氏も「国境でロシアの極めて攻撃的な行動を目の当たりにしている」と危機感をあらわにした。ウクライナの大統領報道官は7日の地元テレビ番組でロシア軍の結集を「確認していない」としていたが、クレバ氏は強い懸念を示した。

米ウクライナ両外相は10日、戦略的パートナーシップに署名した。合意文書に「両国はウクライナの主権や独立、領土の一体性について揺るぎない責任を強調する」と明記した。「ロシアが地域の平和と安定を脅かし、ルールに基づく秩序を弱体化させている」と名指しで非難した。

ロシア外務省は、ロシア軍が結集しているとの米国の主張について「フェイク(偽情報)だ」(ザハロワ情報局長)として真っ向から反発している。

ロシアもウクライナ情勢に神経をとがらせている。ウクライナ軍は10月26日、同国東部の親ロシア派武装勢力の軍事拠点にトルコ製無人機で初めて攻撃を加えたと明らかにした。ウクライナ軍が近年、導入を急いでいる軍用ドローン(小型無人機)「バイラクタルTB2」による攻撃で、ロシア側は停戦違反だと訴えた。

ウクライナでは14年の親欧米派による政変をきっかけにロシア系住民が多い東部で紛争となった。東部地域では最近、ウクライナ政府軍と親ロ派の双方が銃撃や砲撃の停戦違反が増えていると互いに非難を強めている。ロシアとドイツ、フランスとの4カ国首脳会議の開催で東部紛争の和平協議の打開を目指しているが、暗礁に乗り上げている。

ロシア軍は11月4日、米第6艦隊の旗艦マウント・ホイットニーが同日にウクライナ南部沿岸の黒海に入ったとして警戒度を引き上げた。ロシア国防省は9日、米海軍にウクライナやルーマニアなどの艦艇も加わり軍事演習を実施しているとして「ウクライナが同国南東部(の問題)で武力解決を準備した場合に備えている」と批判した。

ロシアとドイツを結ぶ天然ガスのパイプライン(ノルドストリーム2)をめぐっても米国はロシアをけん制する。ブリンケン氏は「ロシアがエネルギー供給を兵器として使えば米国やドイツは適切な行動をとると約束している」と語り、対抗措置を辞さない構えを見せた。米国はロシアが欧州向けのガス供給停止をちらつかせて外交的圧力を強める事態を避けたい考えだ。

バイデン米政権はロシアと「安定的かつ予見可能な関係」を目指すとして6月にスイスで首脳会談を開いた。中国との競争に注力するためロシアとの決定的な対立を望んでいないからだ。ウクライナなどをめぐる緊張が再び高まり、6月の首脳会談の効力が薄れつつある。米ロは再度の首脳会談開催の可能性も探っている。

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