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監視技術の悪用阻止へ、米主導で枠組み 日本参加も期待

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【ワシントン=鳳山太成】バイデン米政権は10日閉幕した「民主主義サミット」に合わせて、監視技術の輸出を管理する多国間の枠組みを立ち上げると表明した。中国の人権侵害に対抗する狙いだが、発足時点で正式参加したのは米国含め4カ国だった。日本などハイテク企業を抱える国を巻き込めるかが成否を左右する。

米国はオーストラリアとデンマーク、ノルウェーとの共同声明で「輸出管理・人権イニシアチブ」を発足すると記した。カナダとフランス、オランダ、英国も支持を表明して、近い将来の参加を示唆した。

新たな枠組みは、強権国家の人権侵害に顔認証や監視カメラなどの監視技術が悪用されないよう輸出規制で足並みをそろえる。どこの国・地域に対してどのような品目の輸出を止めるのか検討し、各国が同じ措置を講じる。

米国が協力相手として期待する日本は発足メンバーに加わらなかった。日本には顔認証など高度な技術を持つ企業が多い。一方、人権侵害を理由にした明確な輸出管理法を持っておらず、企業の自主規制にとどまる。国内の法整備が欠かせない。

人権侵害を理由にした輸出規制では米国の動きが突出する。トランプ前政権の時代から、ウイグル族の弾圧に加担したとして監視カメラや遺伝子分析、顔認証などを手掛ける中国企業に米国製品の禁輸措置を相次いで課してきた。

監視カメラ市場は上位5社で世界シェアのほぼ半分におよび、そのうち4社は中国企業だ。米政府は2019年8月に世界最大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)などからの政府調達を禁止、20年8月には同社製品を使う企業を政府調達から排除した。しかし経営への打撃は限定的で、部品調達もサプライチェーン(供給網)の多様化で乗り切った。

米国が一方的に輸出規制を繰り出しても、ほかの国が同水準のハイテク製品を出荷し続ければ、中国やロシアなど強権国家への打撃は小さくなる。なるべく多くの国が同調しなければ、監視技術の供給や利用を断つのは難しい。

バイデン政権は「同盟国と協力を深めて中国に対抗する」と繰り返すが、経済分野で具体的な成果は乏しい。日本や欧州連合(EU)などハイテク企業を抱える民主主義国家を巻き込んで、枠組みを機能させられるかが試金石となる。

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