ヴァージン創業者、宇宙飛行に成功 ベゾス氏に先んじる
【シリコンバレー=白石武志】米宇宙開発ベンチャーのヴァージン・ギャラクティックは11日、創業者のリチャード・ブランソン氏らを乗せた宇宙船の試験飛行に成功した。20日の打ち上げを予定する米アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏に先んじ、自ら開発を率いた宇宙船による飛行に成功した最初の起業家となった。
ヴァージンの宇宙船「スペースシップ2」は11日午前にニューメキシコ州にある自社の宇宙港を出発。母船となる航空機「ホワイトナイト2」で持ち上げたあと上空約14キロメートルで切り離され、ロケットエンジンを噴射して宇宙空間に向かった。
宇宙船は音速の3倍(マッハ3)まで加速して放物線を描くように高度90キロメートル近くまで到達。無重量状態を経て大気圏に再突入し、出発地点に戻った。母船からの切り離しから着陸までは約15分だった。
ブランソン氏は試験飛行後のイベントで「子どもの頃からこの瞬間を夢見ていた。全てが魔法のようだった」と振り返った。「我々の目的は宇宙を全ての人々によりアクセスしやすいものにすることだ」とも述べ、募金サイトと提携してヴァージンの商業飛行のチケットが当たる懸賞を実施することも明らかにした。
英連続起業家のブランソン氏は2004年にヴァージン・ギャラクティックを設立。22年の宇宙飛行の商業化を目指しており、アマゾン創業者で宇宙開発ベンチャーの米ブルーオリジンを率いるベゾス氏と大富豪による「宇宙飛行一番乗り」を競っていた。
今回の試験飛行で、ヴァージンの宇宙船は高度100キロメートルの「カーマンライン」を超えていないもよう。ブルーオリジンは「国際的に宇宙の境界と見なされているのは高度100キロメートルだ」と主張しており、今後、双方が宇宙飛行一番乗りを主張する可能性がある。
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