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米南部でウクライナ軍訓練 パトリオット運用へ約100人

(更新)

【ワシントン=坂口幸裕、イスタンブール=木寺もも子】米国防総省は10日、ウクライナ軍への供与を決めた長距離の地対空ミサイル「パトリオット」の使用訓練を米南部オクラホマ州で来週にも実施すると発表した。ロシアのミサイル攻撃に対抗する防空体制の強化を急ぐ。一方、ロシアの民間軍事会社はウクライナ東部の激戦地バフムト近郊の町を制圧したと主張した。

バイデン米大統領は2022年12月に、ホワイトハウスで会談したウクライナのゼレンスキー大統領にパトリオット1基を初めて供与すると伝えた。今月5日にはドイツも追加で提供すると発表した。

国防総省のライダー報道官は10日の記者会見で、オクラホマ州にある陸軍施設フォートシルでの訓練を通じ「防空システムを操作、保守・管理できるようにする」と説明。「ロシアが全土で空爆を増大させるウクライナの防空能力(向上)に役立つ」と語った。数カ月を想定する訓練には90~100人ほどが参加する見通しだ。

パトリオットはウクライナがかねて求めてきた。米軍の主力防空システムで、短距離弾道ミサイルや巡航ミサイル、一部の航空機などを高い精度で迎撃できる。超低高度から高高度の複数目標に同時に対処可能になる。

これまで米国が供与したのは北大西洋条約機構(NATO)加盟国のほか、日本やイスラエルなど同盟国が目立つ。ロシアのプーチン大統領はパトリオットを「破壊する」などと反発した。

ライダー氏はオースティン米国防長官が来週にドイツを訪れ、欧州の同盟国など50カ国が参加するウクライナ支援国会合を主催すると明らかにした。米国は新たな軍事支援として歩兵戦闘車も供与する方針で、地上戦をにらんでロシアの占領地奪還をめざすウクライナ支援の拡大を話し合うとみられる。

一方、激しい戦闘が続くウクライナ東部ドネツク州バフムト近郊を巡り、ロシアの民間軍事会社ワグネルのトップは11日未明、バフムトの北東約10キロに位置するソレダルの町全域を「制圧した」との声明をSNS(交流サイト)に投稿した。

ウクライナ軍は11日、ワグネルによる制圧を否定したうえ、ワグネル側が投稿したソレダルの岩塩坑の写真が実際と異なると指摘した。

ソレダルはウクライナ軍が拠点とする同州セベルスクとバフムトの間にあり、ロシア側による制圧が事実なら、ウクライナ軍のバフムトへの補給は難しくなる。

英国防省は10日、ロシア軍のソレダルの大半をロシア側が制圧した可能性があると指摘していた。ただ、ウクライナの防衛線が強固なため、ロシア軍がすぐにバフムトを包囲する可能性は低いとの見解も示した。

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