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米銀行株の下げ止まらず シリコンバレー銀行破綻で動揺

(更新)

【ニューヨーク=竹内弘文】米シリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻を受けて、米株式市場での動揺が続いている。中堅銀行や地銀など金融株などの下げで投資家心理が悪化し、10日のダウ工業株30種平均は前日比345ドル(1.1%)安の3万1909ドルで引けた。週間では1481ドル安となり、週次の下げ幅としては2022年6月以来の大きさとなった。

カリフォルニア州地盤の銀行持ち株会社パックウェスト・バンコープ株は10日、前日比38%下落し、ファースト・リパブリック・バンク株も15%安となった。両銘柄は前日にも2割前後下落していた。市場が不安視しているのはテクノロジー業界との取引関係の深さだ。

パックウェストの開示資料によると2022年末時点でベンチャー関連から受け入れている預金は全体の3分の1を占めた。ファースト・リパブリックはVCや未公開株ファンド向けの融資が企業向け融資額全体の6割弱だった。シリコンバレーバンクの破綻の引き金を引いたのはテック企業やVCの預金引き揚げだったことから、余波の広がりを株式市場は警戒する。

株式アナリストからは「個別行の特異事例が他行でも起きていると連想した投資家の売りは過剰反応だ」(バンク・オブ・アメリカのエブラヒム・プーナワラ氏)という指摘がある。保有債券の含み損を考慮すると破綻前から実質的に過小資本にあったシリコンバレーバンクと異なり、ほかの中堅銀行は財務基盤が比較的安定しているとの見方もある。

ただ、不安がくすぶるなかでは積極的な買いは入らず、売りが優勢になりやすかった。大手行や主な地銀で構成するKBWナスダック銀行株指数は、前日の7.7%安に続き10日も3.9%安となり、20年11月以来の安値を付けた。

債券市場では金利低下が進んだ。金融政策の影響を受けやすい2年債利回りは前日比0.31%低い4.59%に急低下(債券価格は急伸)した。一日の低下幅としては2008年9月以来、約14年半ぶりの大きさとなった。

10日朝発表の2月の雇用統計は非農業部門の雇用者数が前月比31万1000人増と市場予想を上回った一方、失業率は3.6%に上昇。平均時給の伸びも予想を下回った。21〜22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅が0.50%へ再拡大するとの見方は後退した。

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