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米軍、アラスカ上空で飛行物体を撃墜 国籍は不明

(更新)

【ワシントン=坂口幸裕】米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は10日の記者会見で、米軍が同日午後に米アラスカ州の上空を飛行していた物体を撃ち落としたと明らかにした。どこから飛来してきたかは現時点で不明で、バイデン大統領が民間航空機への脅威となるおそれがあると判断して撃墜を指示した。

バイデン氏は10日、ホワイトハウスで記者団に「(撃墜は)成功した」と述べた。カービー氏によると9日夜に発見、バイデン氏が国防総省の進言を受けて10日午前に撃墜を命じた。物体は高度約4万フィート(約1万2000メートル)を飛行し「小型車ほどの大きさだった」と説明した。領土上空は飛行しなかったもようだ。

米国防総省のライダー報道官は10日の記者会見で「民間航空機は最高4万5000フィート(約1万4000メートル)で飛行している。この物体が民間の航空交通に脅威を与える、あるいは潜在的な危険をもたらす懸念があった」と話した。米政府は回収する残骸の分析を急ぐ。

ステルス戦闘機F22が10日午後1時45分、アラスカ北東部のカナダ国境付近で空対空ミサイル「サイドワインダー」を発射して撃ち落とした。物体は無人だった。カービー氏は「国有か個人所有かわからず、目的も判然としない。回収すれば、詳細を把握できるだろう」と述べた。凍結している海上に落下したため残骸は回収しやすいとみられる。

米軍が4日に領空で撃墜した中国の偵察気球の大きさは高さ最大200フィート(約60メートル)でバス3台分に相当する。米上空の高度約6万フィート(約1万8000メートル)を移動していた。軍事施設を標的に通信を傍受できるアンテナが搭載され、米国務省は「(中国の)情報収集活動が可能だった」と断定した。

一方、今回は気球かどうかや偵察機器が搭載されていたかなどはわかってない。カービー氏は「(中国の偵察気球のような機能が備わっていたと)示す証拠はない」と語った。

本土上空を通過した中国の偵察気球への米政府の対応を巡り、野党・共和党は非難を強める。1月28日に米領空に入ったと確認したにもかからず、撃ち落とすまでに8日間を要した判断を問題視する。「バイデン政権は優柔不断で、遅きに失した」(上院共和トップのマコネル院内総務)などの声が出た。

10日の撃墜は領土上空を通過する前に実行した。「国民を危険にさらした」などと主張する共和の批判を意識した可能性がある。

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