ブラジル、10月のインフレ率10%超 5年9カ月ぶり水準

【サンパウロ=宮本英威】ブラジル地理統計院が10日発表した2021年10月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で10.67%上昇した。16年1月以来、5年9カ月ぶりの高い上昇率となった。干ばつや通貨安の影響でインフレは加速している。
前月比での上昇率は1.25%と、10月としては02年(1.31%)以来の高い水準となった。食料品ではトマトや鶏肉が1年前から約3割上昇し、ジャガイモ(24%)やチーズ(15%)も上がっている。食用肉に手が出ず、ペット用の肉を食用に購入する庶民が増えているとの報道もある。

原油の高騰を受けてガソリンの販売価格も上昇した。通貨レアルは1ドル=5.5レアルと、6月下旬の高値から1割以上下落しており、輸入物価の上昇につながっている。
中央銀行は10月まで6会合連続で利上げを決めており、政策金利を7.75%まで引き上げた。次回の12月会合では少なくとも1.5%の追加利上げが見込まれている。金融市場には引き上げ幅をさらに広げるとの見方もある。
中銀が利上げを急ぐのは、米連邦準備理事会(FRB)が3日に量的緩和の縮小(テーパリング)を決め、通貨安への不安があるためだ。新型コロナウイルス禍からの回復途上での利上げペース加速で、経済の下押しが懸念されている。
中銀は物価上昇率の目標の中心値を3.75%に設定しており、2.25~5.25%が範囲内だ。8カ月連続で上限を上回っている。