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「最大雇用まで緩和継続」 FRB議長、インフレ容認姿勢

(更新)

【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は10日の講演で「新型コロナウイルス禍で労働市場の回復は遅れており、最大雇用に達するまでゼロ金利政策を維持する」と強調した。市場内外では物価上昇を警戒する声も浮上するが「当面は2%を上回る物価上昇率を目指す」と述べ、緩やかなインフレを容認する姿勢もみせた。

パウエル議長は「ニューヨーク経済クラブ」とのウェブ形式での講演で「1月の米失業率は(実質的には)10%近い」などと指摘して、雇用の弱さに改めて懸念を示した。統計上の失業率は14.8%(2020年4月)から6.3%まで下がったが、労働参加率も1年で約2ポイント低下。職探しを諦めて労働市場から退出した生活者が多数おり、潜在的な失業率はさらに高いとみる。

そのため、パウエル氏は「雇用の最大化まで現在の政策金利を維持し続け、最大雇用へ十分な進展がみられるまで現在の量的緩和政策も続ける」と長期の金融緩和を改めて宣言した。FRBは最大雇用の目安となる数値として、4.1%の失業率を挙げており、その達成は23年までずれ込むと予測している。

もっとも、大規模な財政出動と金融緩和で、米国内総生産(GDP)はすでに危機前の98%まで回復している。サマーズ元財務長官が「バイデン政権の追加財政出動案は過熱を招くリスクがある」と指摘するなど、市場にはインフレを懸念する声も出てきた。

パウエル氏は講演で「物価は30年間にわたって低位で安定してきた」と述べ、インフレへの警戒感に言及することは一切なかった。インフレリスクよりも雇用回復を優先する姿勢を強調し、当面は2%を上回るインフレ率をめざすとした。質疑応答では財政悪化への懸念も問われたが「まず経済を強くするのが優先で、財政問題はその後の議論だ」と指摘した。

バイデン大統領は「雇用回復へ今すぐに包括策が必要だ」と1.9兆ドル(約200兆円)の大型財政出動を推し進める。右腕となるイエレン財務長官は、経済の緩やかな過熱を容認して労働市場を大きく広げる「高圧経済論」を唱えてきた。パウエル氏も今回の講演で改めてイエレン氏に同調し、金融政策の早期引き締め論を封印した。

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