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米住宅ローン組成、1~3月17%減 金利上昇で需要鈍る

【ニューヨーク=斉藤雄太】ニューヨーク連銀が10日発表した2022年1~3月期の米家計債務の報告書によると、住宅ローンの組成額は8589億ドル(約112兆円)と前の四半期から17%減った。落ち込み幅は5年ぶりの大きさだった。米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制に向けて金融引き締めに踏み出すなか、住宅ローン金利の急上昇が借り換えや新規契約の需要を鈍らせている。

住宅ローンの組成額はFRBが新型コロナウイルス対応の大規模な金融緩和を始めた20年前半から急速に増え、ピークの21年4~6月期には約1.2兆ドルとコロナ前の四半期のおおむね2~3倍に膨らんだ。その後は減少傾向にあり、特に22年1~3月期は大きな落ち込みをみせた。

背景にあるのが住宅ローン金利の急上昇だ。米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)によると、昨年末に3%程度だった30年固定金利(週平均)は3月末に4%台後半まで上がった。足元では5.3%近くとさらに高くなっている。FRBが利上げと保有資産の圧縮という「二重の引き締め」に動き、米長期金利が一時3%超と大幅に上がったことで、超長期の住宅ローン金利も押し上げられている。

ニューヨーク連銀で家計と公共政策の調査を担当するアンドリュー・ホーワウト氏は「高水準だった借り換え需要の巻き戻しが起きている」と指摘する。低金利環境で住宅所有者が既存債務を借り換え、返済負担を軽くしようとする動きが一巡した。新規購入者の需要も落ちている。コロナ後に進んだ住宅価格の急上昇に加え、金利も大幅に上がり、家計の購入余力が乏しくなったことを映す。

住宅以外では、1~3月期の自動車ローンの組成額も2%減の1766億ドルと3四半期連続で減った。家計全体の債務残高でみると、住宅ローンや自動車ローンを含め総じて増加が続き、15.8兆ドルになった。コロナ前の19年末に比べ、1.7兆ドル(12%)多い。

ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は10日、ドイツで開かれたイベントで「我々の金融政策手段は耐久消費財や住宅など、大きな(需給の)不均衡が生じて過熱の兆しがみられる分野で特に威力を発揮する」と語った。金利を高くして需要を冷まし、供給力とのギャップを解消することでインフレ圧力を和らげる狙いがある。足元の住宅ローンなどの需要減は政策効果の表れといえる。

ただ急な引き締めがFRBの想定以上に景気を冷え込ませるリスクもくすぶる。雇用・所得環境が大きく悪化すれば、高水準の債務を抱える家計の返済能力も低下し、金融システムに不安が広がる。足元で低水準にとどまる各種ローンの延滞率が上昇に転じないかが米経済の焦点になる。

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