テキサス州の中絶禁止法、存続容認 米最高裁

【ワシントン=芦塚智子】米連邦最高裁は10日、人工妊娠中絶の大半を禁止した南部テキサス州の州法について、中絶を実施する施設が起こした施行差し止め請求訴訟の継続を認める判断を下した。一方で訴訟の審理中は同州法の施行を認めるとした。全米で最も厳しい同州の中絶禁止法は当面、存続することになる。
テキサス州法は通常妊娠6週目ごろとされる胎児の心拍確認後の中絶を禁止し、性的暴行や近親相姦(そうかん)による妊娠にも例外を認めない内容で、9月1日に発効した。米メディアによると、同州の中絶を望む女性は州外の施設に行くことを余儀なくされている。最高裁は同州法の合憲性自体には見解を示しておらず、差し止め請求訴訟は下級審が審理することになる。
最高裁は南部ミシシッピ州の中絶制限法の合憲性を審理しており、2022年夏までに判決を下す見通し。この訴訟では最高裁が女性の中絶の権利を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆す可能性もあり、注目されている。