メキシコ大統領、2回目のコロナ感染 「症状は軽微」

【メキシコシティ=清水孝輔】メキシコのロペスオブラドール大統領は10日、自身が 新型コロナウイルスに感染したことを明らかにした。ロペスオブラドール氏がコロナに感染するのは2021年に続いて2回目。メキシコでは変異型「オミクロン型」が拡大し、検査体制が逼迫しつつある。
ロペスオブラドール氏は10日のツイッターへの投稿で「症状は軽微だが、改善するまで隔離してオフィス業務に専念し、オンラインでコミュニケーションする」と述べた。10日朝の定例会見では風邪のような症状があり、コロナの検査を受けると明らかにしていた。同氏は記者会見などの際にマスクをつけることは少ない。
メキシコではコロナの感染が再び広がっている。メキシコ保健省によると、8日の1日当たりの新規感染者数は3万671人と過去最多を更新した。累計の感染者数は400万人を超え、死亡者数も30万人に達する。変異型「オミクロン型」の拡大で検査体制は逼迫しつつある。
これまで1日当たりの感染者数は2021年8月18日の2万8953人が最多だった。米ジョンズ・ホプキンズ大学によると、8日の新規感染者数は7日移動平均で約1万7800人と1カ月前の約9倍に膨らんでいる。
メキシコでは検査体制の不備が浮き彫りになっている。メキシコシティでは7日に1日の検査回数が約2万3000回と1週間前に比べて3倍超に拡大した。街中の薬局では検査を待つ長蛇の列ができ、数時間待たないと受けられない場合もある。

検査体制の逼迫を踏まえ、ロペスオブラドール氏は「(ワクチン接種済みで)症状が軽い場合は検査を受けず自主隔離してほしい」と国民に呼びかけた。オミクロン型は重症化率が低いうえ、検査所で感染が広がる事態を防ぎたいと説明した。
メキシコシティでは9日時点の入院者数が744人と2日に比べて2.1倍に増えた。だが病床使用率は11%で、重症者の受け入れにはまだ余裕がある。すでに18歳以上の95%がワクチンを2回接種しており、高齢者や医療関係者から優先的にブースター接種が進んでいる。ワクチン接種の効果で重症化が抑えられている側面もある。
コロナ感染再拡大の影響は経済活動にも広がっている。メキシコシティ国際空港によると、5~8日にはメキシコ航空大手アエロメヒコの178便が欠航になった。ほかの航空会社を合わせると203便が欠航になっている。パイロットや乗務員が相次ぎ感染し、業務に支障が出ているという。