米中間選挙、残る激戦区は 上院はアリゾナなど3州

【ワシントン=竹内弘文】8日投開票の米中間選挙では上下両院で与党・民主党と野党・共和党が接戦を続け、議会の勢力図は米東部時間10日午前(日本時間11日夜)時点でなお見通せていない。上院選では西部アリゾナなど3州の行方がカギを握る。下院選でも数十の選挙区で勝敗がついていない。一部地域では集計の遅れが生じているほか、決選投票が決まった選挙区もある。

世論調査に基づく事前予想では共和党が下院で約230議席以上を確保して大勝するとの見方があった。蓋を開けると、票差が小さく勝者を決められない選挙区が上下院で相次いだ。
世論調査が実態を十分に反映できていなかったとの指摘がある。AP通信の出口調査によると、選挙直前に投票先を決めた人は11%と2年前に比べて6ポイント増えた。このうち46%が共和、42%が民主の候補にそれぞれ投票した。特に18~29歳は直前に決めた人が17%と最も多く、世論調査で投票動向を捉えきれなかった可能性がある。
勝敗が決まっていない主な選挙区は以下の通り。
上院選・西部アリゾナ州
民主党候補の現職マーク・ケリー上院議員に、共和党候補で投資家のブレイク・マスターズ氏が挑んでいる。元宇宙飛行士のケリー氏は、かつて銃撃事件で負傷した妻とともに銃規制活動に携わる。マスターズ氏はトランプ前大統領の支持を受けているほか、著名投資家で共和党への高額献金者としても知られるピーター・ティール氏と近い。
州都フェニックスのあるマリコパ郡では、8日に一部の投票所で投票用紙を読み込む機械の不具合が発生し、集計作業に遅れが出ている。
上院選・南部ジョージア州
民主党候補の現職ラファエル・ウォーノック上院議員と共和党候補のハーシェル・ウオーカー氏が激しく競い合い、両者の得票率はいずれも50%に満たない見通しとなった。州法にもとづき、12月6日に決選投票となることが決まった。
アメリカンフットボールのスター選手だったウォーカー氏はトランプ氏の支持を受けている。人工妊娠中絶に反対の立場を取りながら、選挙期間中にはかつて交際相手の女性に中絶を迫ったというスキャンダルが浮上した。
上院選・西部ネバダ州
開票速報では、共和党候補のアダム・ラグザルト前州司法長官が民主党候補の現職キャサリン・コルテズマスト上院議員を得票数で先行している。ラグザルト氏は2020年の大統領選でトランプ氏陣営の同州選対委員長を務め、今回の上院選でもトランプ氏の支援を受けている。コルテズマスト氏は人工妊娠中絶の権利保護を主張し、議席死守を目指している。
米メディアによると、ラスベガスがあるクラーク郡では開票作業が遅れており、完了時期は翌週になる見通しという。
下院選・西部アリゾナ州1区
州都フェニックスの北東に位置する選挙区。民主党候補のジェビン・ホッジ氏と共和党候補のデビッド・シュワイカート下院議員が接戦を演じている。
下院選・西部オレゴン州6区
同州の北西部に位置する選挙区。民主党候補のアンドレア・サリナス氏と共和党候補のマイク・エリクソン氏が競っている。
下院選・西部カリフォルニア州47区
同州南部に位置する選挙区。民主党候補のケイティー・ポーター下院議員と共和党候補のスコット・ボー氏の激しい争いになっている。