バイデン氏息子の捜査、中国ビジネスが対象か - 日本経済新聞
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バイデン氏息子の捜査、中国ビジネスが対象か

【ワシントン=中村亮】米大統領選で当選を確実にしたバイデン前副大統領の息子ハンター氏の税務問題を司法当局が捜査していることが9日、明らかになった。複数の米メディアは具体的な捜査対象についてハンター氏の中国ビジネスと報じた。中国企業からダイヤモンドを受け取っていたという。身内に対する捜査は政権発足の準備を急ぐバイデン氏に冷や水を浴びせかねない。

ハンター氏は9日の声明で、東部デラウェア州の連邦地検が税務について捜査していると8日に通知があったと明らかにした。「とても重く受け止めている」としつつも「合法的で適切に対処したことが証明されると確信している」と強調し、違法行為はしていないとの認識を強調した。

CNNテレビは捜査に詳しい2人の話として「司法当局が外国との取引で税法や資金洗浄法に関する違反があったか調べている」と報道。中国ビジネスが重点的な捜査対象になっているという。2018年に始まった捜査は今年11月の大統領選後に活発になったもようだ。司法当局は関係者に聴取や資料提出を求めているという。バイデン氏本人は捜査の対象外だ。

CNNによると具体的な捜査対象の一つは、ハンター氏が17年に中国企業幹部から2.8カラットのダイヤモンドを受け取った事案だ。ハンター氏は同企業の対米投資に関わった。ハンター氏は米メディアにダイヤモンドは1万ドル(104万円)相当と説明したが、元妻の弁護士は8万ドル相当と指摘した。司法当局はハンター氏が確定申告で適切に処理したか調べたという。

トランプ氏は9日、ツイッターで「ハンター・バイデンのことを知っていれば(大統領選で)10%の有権者が投票先を変えていただろう」との米紙コラムニストの発言を引用した。大統領選前に捜査の存在が判明していれば自身へ有利に働いたとの見方を示したものだ。

トランプ氏はハンター氏の中国ビジネスを繰り返し批判してきた。バイデン氏が13年にオバマ政権の副大統領として訪中した際、ハンター氏も政府専用機で同行した。ハンター氏は訪中直後に中国の実業家が立ち上げた投資ファンドの役員に就任。トランプ氏は「バイデン氏が中国政府に働きかけてハンター氏の就任を後押しした」と主張した。

ハンター氏に対する捜査はバイデン氏に痛手となりかねない。バイデン氏は大統領選で、トランプ氏が16年と17年に支払った所得税がそれぞれ750ドルにすぎないとの報道を引用し過少だと批判した。仮にハンター氏が税務に関する違法行為で利益を得ていれば、国民の政治不信を招く恐れもある。

一方、トランプ氏もカネをめぐる疑惑が絶えない。歴代大統領が慣習としてきた納税記録の開示を一貫して拒み、不適切な資金取引を隠蔽しようとしているとの見方が出ている。両親の脱税を手助けしていた疑いが浮上したこともあった。

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