食肉大手JBS、サイバー攻撃に身代金12億円支払い
【ニューヨーク=中山修志】ブラジルの食肉大手JBSは9日、サイバー攻撃を受けて5月下旬に北米とオーストラリアの食肉処理場の操業が止まった問題で、犯行グループに1100万ドル(約12億円)相当の身代金を支払っていたことを明らかにした。暗号資産(仮想通貨)のビットコインで支払ったとみられる。
JBSは9日の声明で「攻撃による予測不能な事態を軽減し、データ流出を食い止めるために支払いを決めた」とコメントした。現時点で顧客データなどの流出は確認されていないという。身代金を支払った時期や対象は明らかにしなかった。
同社は5月30日までにランサムウエア(身代金要求ウイルス)による攻撃を受け、北米と豪州の食肉処理場のシステムを停止した。6月1日から段階的に操業を再開し、3日に通常稼働に戻った。米連邦捜査局(FBI)はJBSへの攻撃がロシアの犯罪集団「レビル」によるものとみて捜査を進めている。
米国では東海岸の燃料パイプラインがロシアを拠点とする「ダークサイド」のランサムウエア攻撃を受け、運営会社コロニアル・パイプラインが440万ドル相当の身代金を支払った。米司法省は7日、コロニアルが支払った身代金の大半を奪還したと発表した。