トランプ氏、共和党上院トップを批判 「党を代弁せず」

【ワシントン=中村亮】米国のトランプ前大統領は9日の声明で、共和党上院トップのマコネル院内総務について「共和党を代弁していない」と断じた。マコネル氏はトランプ氏の支持者が起こした連邦議会占拠事件を「暴力的反乱だ」と非難しており、トランプ氏が反論した。
トランプ氏は「マコネル氏は支持者のために戦ったり、米国史上で最も不正な選挙を阻止したりするための行動を何も起こしていない」と訴えた。トランプ氏は2020年の大統領選に不正があったとして、当時のペンス副大統領が権限を行使して結果を覆すべきだったなどと主張してきた。
マコネル氏は8日、2021年1月に起きた議会占拠事件をめぐる共和党全国委員会の対応を批判した。米メディアによると、全国委員会が4日に採択した決議は占拠事件などについて「合理的な政治議論」と評価したからだ。決議をまとめたロナ・マクダニエル全国委員長はトランプ氏に近く、マコネル氏の批判の矛先は事実上トランプ氏にも向けられていた。
共和党ではマコネル氏らの主流派とトランプ氏に近い「親トランプ派」の溝が今年11月の中間選挙に向けた不安要因に浮上してきた。主流派がトランプ氏の影響力を排除しようとすればトランプ氏が反発し、同氏の熱狂的支持者が投票に行かなくなるリスクがある。共和党は中間選挙で上下両院の多数派の奪還を目指している。