下院、共和前進も民主猛追 バイデン氏「赤い波起きず」

【ワシントン=坂口幸裕】米中間選挙は9日も開票が続いた。米連邦議会の下院で野党・共和党が4年ぶりに過半数を奪還する勢いを維持するものの、与党・民主党も議席を積み上げている。上院は接戦が続く。バイデン米大統領は同日の記者会見で、選挙結果に関係なく「共和党と協力する用意がある」と述べた。11月中旬にも与野党の指導者と経済や安全保障について議論する意向を明かした。
今回の中間選挙は任期2年の下院435議席すべてと、任期6年の上院100議席のうちおよそ3分の1にあたる35議席が改選対象になる。現在は上下両院で民主が多数派を握る。

AP通信の出口調査によると、東部時間9日午後10時半(日本時間10日午後0時半)時点で、下院の当選確実は民主184、共和207になっている。いずれも過半数の218に届いていない。下院は現在、民主が220議席、共和が212議席を持つ。
上院の当選確実は民主が12、共和が20で、非改選議席を含めると民主が48議席、共和が49議席を確保した。接戦だった東部ペンシルベニア州で民主が議席を奪った。東部ニューハンプシャー、西部のワシントン、コロラドも民主が議席を死守。中西部のオハイオとウィスコンシンはトランプ前大統領が推薦する共和候補が制した。
残る3州は僅差で競る。南部ジョージアは得票率50%以上の候補がいなければ上位2人の決選投票となるルールで、12月6日に実施する日程が決まった。西部アリゾナは候補者の得票差が0.5ポイント以内の場合、自動的に再集計になる。西部ネバダは候補者や有権者が再集計を求められるルールがあり、再集計を求める声が高まるとの見方がある。
共和が下院で大勝するとの事前予想が多かったが、接戦区が多くなり大勢判明に時間がかかっている。バイデン氏は9日「(共和のシンボルカラーにちなんだ)『赤い波』は起きなかった」と断言した。民主が下院多数派を「維持する可能性はまだある」との認識を示した。
「理にかなっていれば共和と妥協する用意がある。多くの問題で常に米国民のニーズと利益を第一に考えている」と強調。「この先も政治闘争が続くことは望んでいない」と語り、野党に協力を呼びかけた。
バイデン氏は9日、下院共和党トップのマッカーシー院内総務と電話した。共和党が下院の多数派を取り戻せば同氏が下院議長に就く可能性が高い。
民主が議会の多数派を失えば予算や政策にかかわる法案成立に共和の協力が欠かせなくなる。2024年大統領選をにらむ与野党の対立が一段と激しくなるとみられ、政策が滞るリスクが高まる。「世論調査では圧倒的多数の米国人が私の経済政策を支持している。政策は機能しており、正しい道を進んでいる」と話した。
バイデン氏はトランプ氏のスローガン「Make America Great Again(米国を再び偉大に)」の頭文字から同氏や信奉者を「MAGA(マガ)」と呼び「MAGAの熱は冷めていないが、共和の少数派だ」と訴えた。
