バイデン政権、ファイザー製ワクチン5億回分を寄付へ
【ニューヨーク=野村優子】バイデン米政権が米製薬大手ファイザーと独ビオンテックの新型コロナウイルスワクチン5億回分を購入し、途上国などへの寄付を検討していることが分かった。複数の米メディアが9日、関係者の話として報じた。英で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)に出席するバイデン大統領が10日にも発表する。
米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、米政府は2022年にかけて5億回分のワクチンを提供することでファイザーと合意した。2億回分を21年中、3億回分を22年半ばまでに供与する。発表にはファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)も出席するという。
供給対象は低所得国92カ国とアフリカ連合(AU)。世界保健機関(WHO)などが主導する途上国にワクチンを配る国際的な枠組み「COVAX(コバックス)」を通じて配布する。
米CNBCは9日、米政府は米バイオ製薬大手モデルナともワクチン購入を協議していると報じた。ファイザーとの契約と同様の量としている。
バイデン氏は9日、G7サミットに向けて英国に出発する際、世界のワクチン戦略について記者団に問われ「(戦略を)持っていて、発表する」と答えた。バイデン政権はこれまで少なくとも8000万回分を6月末までに供給する計画を明らかにしている。第1弾として3日、インドや台湾などアジア、中南米、アフリカの国・地域に2500万回分の提供を始めると公表していた。
米国はファイザーと既に3億回分の購入契約を締結している。追加購入すれば、ファイザーから計8億回分のワクチンを購入することになる。米政府はワクチンをこれまで1回あたり19.5ドル(約2100円)で契約していたが、今回は利益の出る価格ではないとしている。
英オックスフォード大の研究者らが運営する「アワー・ワールド・イン・データ」の集計によると、米国で1回でもワクチンを接種した人は51%に達したのに対し、アフリカでは2%にとどまる。
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