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仮想通貨大手バイナンス、FTXの買収方針を撤回

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【ニューヨーク=大島有美子】暗号資産(仮想通貨)交換業最大手のバイナンスは9日、8日に合意していた同業大手FTXトレーディングの事業買収方針を撤回すると発表した。FTXのデューデリジェンス(資産査定)をした結果、「今回の問題は我々の手に負えないものだ」として、買収しない方針に至ったという。

バイナンスの広報担当者が明らかにした。FTXは「コメントしない」(広報担当者)と述べた。米国以外で事業を展開するFTXの交換所サイトによると、米東部時間9日午後5時時点で顧客による資金の引き出しを停止している。

FTXは関連会社との取引で資金繰りが逼迫し、バイナンスに支援を求めた。バイナンスとFTXは8日、バイナンスが米国以外の事業を救済買収する方針で合意した。拘束力はなく、バイナンスのチャンポン・ジャオ最高経営責任者(CEO)は、数日内に資産査定をした上で詳細を詰めるとしていた。

バイナンスは「(合意の)当初はFTXの顧客に対して支援ができればと考えていた」と説明した。財務諸表や事業構造の精査の結果「我々が助けることのできないものだ」と分かったという。ジャオ氏はツイッターに「悲しい日だ。助けようとしたんだ」と投稿した。

バイナンスは、方針撤回によってFTXの資金繰りが行き詰まることを念頭におき「ある業界大手が破綻すれば、その利用者は被害を受ける」と述べた。「ここ数年、仮想通貨のエコシステムは回復力を増している。利用者の資金を悪用する者は自由市場によって淘汰されると確信している」と加えた。さらに「規制の枠組みが整備されるに従い、エコシステムはより強固なものとなるだろう」とも述べた。

9日も仮想通貨からの資金流出は続いた。情報サイトの米コインデスクによると、代表的なビットコインの価格は仮想通貨取引の先行き不安を受けて軟調だったが、バイナンスの発表を受けさらに下落。一時1万6000ドルを割り込み、前日比で約15%下げた。2020年11月以来2年ぶりの安値に沈んだ。

FTXが発行するトークン「FTT」は前日から約半値に下落し、米東部時間9日夕(日本時間10日朝)時点で2ドル台で推移している。FTXのサム・バンクマン・フリードCEOが創業した投資会社アラメダ・リサーチの保有する資産の約4割がFTTであることが判明し、同投資会社に財務懸念が浮上した。

バイナンスのジャオ氏がバイナンスが持つFTTを清算すると発言したことを機に、当時25ドル台だったFTTの価格が急落し、関連会社のFTXの財務不安へ発展した。バイナンスが救済買収から手を引くことで、FTXの経営の行方や仮想通貨を含む金融市場への影響が焦点になる。

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