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急拡大の後払い決済、米で競争激化 カード会社も参入

【ニューヨーク=吉田圭織】後払いサービス「BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レイター)」を巡る競争が激化している。決済の中心的な存在であるクレジットカード会社がBNPLを展開する新興企業との提携や買収に乗り出すなど、新旧勢力が急成長市場に熱い視線を注ぐ。過熱気味のサービス競争に対して米議会では実態調査を求める声も出ている。

本格化する米国の年末商戦で5人に1人が何らかの形でBNPLの利用を検討している。若年層のミレニアル世代に限れば、38%が年末の買い物で後払いを選択肢に入れている――。米調査会社モーニング・コンサルトによるアンケート調査で、BNPLが堅調な米消費を支える様子が明らかになった。

BNPLは事業者が小売店(加盟店)に立て替え払いをするサービスで、短中期の分割払いでは利用者に手数料や金利負担が発生しない。クレジットカードをつくるための信用スコアが足りない若い世代を中心に市場の拡大が続く。米インサイダー・インテリジェンスによると、2025年の取引額は推定で6800億ドル(約78兆円)に達する見通しだ。

関連企業はこうした需要を取り込もうと動く。BNPL大手の米アファーム・ホールディングスは10日、米アマゾン・ドット・コムとの提携を拡大すると発表した。米国のアマゾンで50ドル以上の買い物をする消費者向けの後払いサービスを、アファームが単独で提供する。アファームの利用口座数は21年7~9月期に870万と前年同期から倍増し、消費額を示す流通総額は27億ドルと84%増えた。アマゾンとの提携拡大で、利用者をさらに増やす狙いだ。

ライバルでもBNPLの利用が伸びる。米決済サービスのペイパルは7~9月期に後払いの取引量が直近1年で54億ドルになった。オーストラリアのアフターペイを約290億ドルで買収する米スクエアのドーシー最高経営責任者(CEO)はBNPLについて「(決済システムの)エコシステムをつなげる最大の可能性を秘めている」と期待する。

クレジットカード大手は巻き返しに動く。ビザはスウェーデンのBNPL大手クラーナを含む7社の後払いフィンテック企業をサポートすると決めた。ビザのカードが使える店舗などではクラーナを通じて、カード利用時に後払いも選べるようになる。

米大手銀行のキャピタル・ワン・ファイナンシャルは同社発行のクレジットカードを後払いに使うことを禁じていたが、9月に自社の後払いサービスを試すと明らかにした。カード大手のディスカバー・ファイナンシャル・サービシズは7月に後払いスタートアップのセズルに3000万ドルを投じ、後払い機能を提供すると発表した。同じカードで決済時にクレジットか後払いかを選べるようになれば、利用者の裾野が広がる可能性がある。

米調査会社アイテ・ノバリカ・グループのジンジャー・シュメルツァー氏は「小売企業は取引額や顧客の増加など後払いによるメリットを実感している。クラーナやアフターペイに(2~3%の)高い取引料を支払っても同機能を提供する価値があるとみている」と指摘し、今後もBNPLの成長が続くと見込む。

BNPLの急拡大ぶりを警戒する声もある。米議会下院の金融サービス委員会は11月の公聴会で、後払いサービスによって消費者が使いすぎるリスクを討議した。同委員会のウォーターズ委員長は米消費者金融保護局(CFPB)が後払いサービス企業を調査する必要があると訴えた。英国では後払い関連の負債額が計40億ポンド(約6100億円)にのぼり、政府は今後、規制強化を検討すると表明している。

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