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エヌビディアがCPU参入 アームと組みAI計算10倍速く

(更新)
エヌビディアはCPU参入でインテルの主戦場に切り込む

【シリコンバレー=佐藤浩実】米半導体大手のエヌビディアは12日、CPU(中央演算処理装置)に参入すると発表した。英アームの基本設計を利用し、2023年に米欧のスーパーコンピューターに搭載する。人工知能(AI)計算を10倍速くできる見通しで、米インテルの主戦場に切り込む。AIの進化を左右する「頭脳」を巡り競争が激しくなる。

12日に開いたAIイベントでCPU「Grace(グレース)」を発表した。エヌビディアのGPU(画像処理半導体)と一緒に使うと、AIを学ばせるための計算速度が最大10倍になり、1カ月かけていた計算が3日で終わるという。他社製CPUとの組み合わせでは、計算量が膨大になると処理の「詰まり」が発生して速度を上げられなかった。

エヌビディアの「グレース」

米ヒューレット・パッカードエンタープライズ(HPE)がエヌビディアのCPUを組み込んでスパコンに仕上げ、米エネルギー省のロスアラモス国立研究所とスイスの国立スーパーコンピューターセンターに納める。ともに23年の稼働予定で、新材料や気象研究などに使う。

AIの「大きさ」、1年で100倍に

GPUが主力のエヌビディアがCPUまで手掛ける背景には、AIの進化がある。例えば自然な文章を書くと話題になった言語AI「GPT-3」には、計算結果を左右する評価軸(パラメーター)の数が1750億ある。19年に発表した1世代前の「GPT-2」の117倍で、パラメーターが増えてAIが大規模になるほど必要な処理も増える。

エヌビディアの担当幹部、パレシュ・カーリャ氏は「数年以内に100兆のパラメーターを持つAIモデルが出てくる」と指摘する。今回のCPUは「最も複雑なAI計算のボトルネックを解消するために開発した」とし、米インテルや米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)などの汎用CPUとは「直接競合しない」というのが公式な見解だ。

インテル株、4%下落

ただ、AIの活用は文章の要約や自動のコード生成、チャットボットなど様々な分野に広がっている。エヌビディアがCPUの領域に踏み出したことで、今後各社が競争する場面は増える。発表に伴い、12日の米株式市場でインテルの株価は前日終値比で4%、AMDは5%下がった。

CPUへの参入は20年9月に買収を表明したアームとの協業の深化も示す。グレースではアームが3月に刷新した新しい設計技術を採用した。エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は12日のイベントで「クラウドやスパコンでのアームの採用は始まったばかりだが、大きな成長のチャンスがある」と話した。両社は22年の買収成立を目指している。

一方でハイテク産業をめぐる米中対立は激しさを増しており、ソフトバンクグループからの買収が計画通り進むかは不透明だ。3月には米半導体装置大手アプライドマテリアルズによる旧日立製作所系KOKUSAI ELECTRICの買収が中国当局の承認を得られず破談になった。業界でも「アームの中立性が失われる」と反対の声が出ている。

半導体業界では需要見通しの誤りや天災、火事などにより、車向けを中心に需要に供給が追いつかない状態が続く。自動車各社が減産を迫られ、12日には米ホワイトハウスが供給網(サプライチェーン)の見直しについて議論する会議を開いた。こうした半導体の「量」の問題に加え、AI計算の頭脳をめぐる「質」の競争も激化している。

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