米新聞大手リー、投資ファンドによる買収提案を拒否
【ニューヨーク=清水石珠実】米中堅新聞社のリー・エンタープライゼズ(アイオワ州)は9日、米投資ファンドのアルデン・グローバル・キャピタルから11月に受け取った買収提案を拒否すると発表した。アルデンによる買収提案額は、「リーの企業価値を著しく低く見積もっている」として、取締役が全会一致で提案拒否を決めた。
アルデンは新聞社の買収に積極的なファンドで、傘下に抱える新聞数では米業界2位につける。リー買収でさらなる規模拡大を狙っている。11月22日、リー株1株あたり24ドル(約2700円)と、提案公表前の株価を約3割上回る水準で買収提案した。すでにリー株の約6%を保有しており、残りの発行済み株取得にかかる費用は1億4000万ドル程度とみられる。
アルデンはデンバー・ポスト(コロラド州)やマーキュリー・ニュース(カリフォルニア州)などを傘下に持つ。今年5月には、名門地方紙「シカゴ・トリビューン」などを運営する米新聞大手トリビューン・パブリッシングを買収した。苦境が続く新聞社の救済をうたって規模の拡大を進めているが、買収完了後に編集部で大幅な人員削減をして利益率を上げる手法で知られる。米ジャーナリズム業界では、ローカル報道の劣化につながるとしてアルデンの規模拡大を警戒する声が強い。