プーチン氏「狂ってないが考え硬化」 米情報機関トップ

【ワシントン=坂口幸裕】米中央情報局(CIA)のバーンズ長官は8日、米議会でウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領の精神状態について証言した。「狂ってはいないが、時間の経過とともに彼の考え方が凝り固まり、彼に意見できる側近が減ったために扱うのが極端に難しくなっている」と述べた。
下院情報特別委員会の公聴会で与党・民主党のラジャ・クリスナムルティ氏から「プーチンの精神状態をどう評価するか」と問われて発言した。駐ロシア米大使を務めた経験があるバーンズ氏は「第三者の視点や、彼の見解に異議を唱えたり疑問を投げかけたりする人から隔離されている」と語った。
プーチン氏は2021年7月に「ロシア人とウクライナ人の歴史的同一性について」と題した論文を発表し、両国民が「一つの民族」と主張。ソ連崩壊で独立したウクライナとの再統合を自らの使命とみなしているようだ。新型コロナウイルス感染拡大で外部と接触する機会が減ったことも孤立を深める一因になったとの指摘がある。
ウクライナでは民間人を含む無差別攻撃が続き、反ロシア感情が高まっているとみられる。バーンズ氏は「ウクライナ国民の反対を押し切って、プーチンのかいらい政権を維持できると思えない」と強調。同席したヘインズ国家情報長官も「ロシアは大規模な反乱に直面する可能性が高く、親ロシア政権を樹立するのは困難だ」と話した。
ウクライナに侵攻したロシアの戦略についても質問が出た。バーンズ氏は米欧や日本などによるロシアへの経済制裁に関し「西側諸国の反応、特にドイツが下した決断に(プーチン氏は)動揺しているだろう」と言及。エネルギー供給をロシアに頼るドイツが制裁に加わったのはロシアにとって誤算だったとの見方を示した。
バーンズ氏は「ロシア軍の死傷者数は(プーチン氏の)予想をはるかに超えている。彼の軍事計画は迅速な勝利を前提にしていた」と訴えた。ベリア国防情報局長は死者数を2000~4000人と推計した。ヘインズ氏も「ロシアは首都キエフを速やかに占領できなかった。ロシアはウクライナの抵抗の強さを過小評価していた」と分析した。
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