米債務上限問題、23年夏にも不履行の恐れ 民間試算 - 日本経済新聞
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米債務上限問題、23年夏にも不履行の恐れ 民間試算

【ワシントン=赤木俊介】米連邦議会で政府債務の上限引き上げを巡る与野党の攻防が再び激しさを増している。民主党が上下院で多数派を握る今会期は年末まで。2023年1月以降は上下院の多数派が異なるねじれ議会となる。上限引き上げを実現できない場合、民間金融機関などは23年夏にも米政府がデフォルト(債務不履行)に陥る可能性があると指摘している。

米国の公的債務残高は22年10月に31兆ドル(約4200兆円)を突破し、21年12月に引き上げた上限の31.4兆ドルに迫っている。米ゴールドマン・サックスが5日発表した試算によると、米財務省が政府職員の確定拠出年金口座から資金調達するなどの特別措置を講じても、早ければ23年8月末~9月までに債務不履行に陥る可能性がある。

超党派政策センター(BPC)も6月に発表した試算で23年7~9月期に債務不履行に陥る懸念があると指摘していた。新型コロナウイルス禍での財政出動や8月に成立した歳出・歳入法(インフレ抑制法)、学生ローンの返済猶予の延長で支出が増える。並行して米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制のため利上げを続けており、利払い負担が膨れ上がっている。

23年1月3日に正式に始まる議会の新会期では共和党が下院で多数派を握る。民主党が上下院を握る今会期は残り数週間となり、上限引き上げを今会期中に達成できなければ合意がさらに遠のく可能性がある。

イエレン財務長官は11月の中間選挙直後、ペロシ下院議長に「米経済の信用を維持するため、連邦議会が債務上限をすぐにでも引き上げることを要請する」と書簡で伝えた。民主党上院トップのシューマー院内総務は同月17日、「上限引き上げは今会期中にやりたいが、超党派の支持が必要だ」と説明した。

一方、野党の共和党としては上限引き上げを財政引き締めの交渉材料として利用したい思惑もある。共和党のマコネル上院院内総務は中間選挙後の11月、「今年中に上限を引き上げる必要はない」と述べた。新会期で下院議長に立候補する意向を示したマッカーシー院内総務も米CNNの取材に対し「上限引き上げの議論を始める前に支出を抑える議論をすべきだ」と話した。

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