MSCI、印アダニ銘柄の組み入れ精査 「浮動株」適さず

【ニューヨーク=大島有美子】不正会計疑惑が指摘されているインドの新興財閥、アダニ・グループが、株価指数への組み入れを巡って揺れている。株式指数を開発・算出する米MSCIは9日までに、アダニ関連の一部の銘柄について、株式市場で自由に売買される可能性の高い浮動株として指定されるべきでないとの見解を明らかにした。指数組み入れの適格性を精査しており、株価下落に拍車がかかる可能性がある。
MSCIは2月の定期的な指数の構成銘柄の見直しで、アダニ・グループの関連銘柄の除外はしなかった。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)はグループ中核のアダニ・エンタープライゼズなど関連銘柄4社の指数への組み入れ比率が下がったと報じた。
MSCIはアダニ・グループ関連株の適格性について市場参加者の意見を募ったうえで「特定の投資家の特性が不確実で、浮動株として指定されるべきでないと判断した」との見解を公表していた。
米投資会社のヒンデンブルグ・リサーチは1月24日、アダニ・グループが長年にわたり不正会計や株価操作をしてきたと主張する調査報告を公表した。ヒンデンブルグの創業者、ネイサン・アンダーソン氏は2月8日、指数の見直しを検討するというMSCIの発表を受けてツイッターに「我々の調査結果を検証していると考えている」と投稿した。
アダニ・グループの関連株は乱高下しており、9日はアダニ・エンタープライゼズの株価が一時前日比20%安まで下落した。同日にはノルウェーの政府系ファンドが、保有するアダニ・グループ関連銘柄を売却していたことが明らかとなった。MSCIの判断によっては、指数連動運用ファンドなどによる売りが広がる可能性がある。
アダニは6日、グループ企業の株式を担保にして借り入れた11億1400万ドル(約1450億円)を繰り上げて返済すると公表。信用不安が一旦和らぎ、アダニ・エンタープライゼズの株価は前日比10%超上昇する場面があった。