メタ、1.1万人削減を発表 全社員の13% - 日本経済新聞
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メタ、1.1万人削減を発表 全社員の13%

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【シリコンバレー=奥平和行】米メタは9日、全社員の約13%に当たる1万1000人超を削減すると発表した。同社が大規模な人員削減を実施するのは2004年の会社設立後、初めてとなる。景気の減速傾向が強まるなか、新型コロナウイルスの世界的な流行を機に企業規模の拡大を加速させたテクノロジー企業の経営が転機を迎えている。

フェイスブックなど主力のSNS(交流サイト)部門に加え、注力分野に据えている仮想空間、メタバースを担当するリアリティー・ラボでも社員を解雇する。米国外も対象となる。全社員に9日中に電子メールで詳細を通知し、削減対象となる社員は同日いっぱいで電子メールを含む社内の情報システムへのアクセスを遮断する。

同社の社員は19年12月時点では約4万5000人だったが、今年9月末には8万7000人超に増えていた。マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は同日、社員に「パンデミック(新型コロナの世界的な流行)後も世界のオンライン化が加速度的に進むと予想して大幅に投資を増やしたが、期待通りにいかなかった。私の間違いで、責任をとる」と説明し、謝罪した。

米国では対象となる社員に基本給の16週間分と勤続期間に応じた加算分を退職金として支給する。関連費用は22年10~12月期に計上するが、同年の経費の見通しは最大870億ドル(約12兆7000億円)に据え置いた。9月から実施している採用凍結を23年3月まで延長するなどコスト削減を強化し、23年の経費の見通しは最大1010億ドルから1000億ドルに引き下げた。

景気に陰りが出るなか、アマゾン・ドット・コムが数カ月にわたって採用を凍結すると3日に明らかにしている。オンライン決済大手のストライプは同日に約1100人の削減を発表した。米起業家のイーロン・マスク氏が買収したツイッターも4日に社員の半分を削減するなど、米テック企業による人件費の抑制や削減が相次いでいる。

テック企業の多くは新型コロナの流行に伴う電子商取引(EC)の利用拡大などを追い風として、事業拡大を加速させた。これにあわせて採用も増やしたが、平時に戻るとともに需要が一服し、特にメタは米アップルによるプライバシー規制の強化や中国発の動画アプリ、TikTok(ティックトック)との競争激化、企業の広告予算の絞り込みといった強い逆風を受けた。

今春以降はSNSの利用者の伸び悩みや業績の苦戦が目立つようになり、22年7~9月期まで2四半期連続で減収に陥った。10~12月期も減収の予想を示している。年初からの株価の下落率は70%を上回り、時価総額は約2500億ドルまで縮小した。株価の下落率はほかのテック大手を大きく上回り、投資家がいらだちを募らせていた。

一部の投資家が人員削減や設備投資の圧縮、赤字が続くメタバース関連事業への投資抑制を求めたが、これまでは否定的な見解を示してきた。10月末に開いた7~9月期の決算説明会でザッカーバーグCEOは「23年末の総人員は現在とほぼ同じか若干下回る水準」と説明したもののそれ以上は踏み込まず、株価が直後に急落していた。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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