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防げ「アジアンヘイト」、米各地で「覆面警官」や付き添いボランティア

(更新)
ニューヨーク市のチャイナタウンでの抗議活動には数百人の人が集まった(3日)=AP

【ニューヨーク=山内菜穂子】米国でアジア系住民へのヘイトクライム(憎悪犯罪)に立ち向かう動きが広がっている。アジア系女性や高齢者らの外出に同行するボランティア活動が増えているほか、警察や住民による地域のパトロール強化も目立つ。全米各地での大規模な抗議集会も続いている。

「私たちが外出に付き添いますよ、いつでも連絡してください」。東部ニューヨーク市のチャイナタウンで3月末、アジア系の高齢者に若者が中国語で声をかけた。今年1月に設立された、外出に同行するボランティア団体「セーフ・ウオークス・NYC」のメンバーだ。参加するボランティアの数は100人を超える。

活動開始のきっかけは、昨年から急増した市内の地下鉄での女性を狙った暴行事件だった。活動の拠点はチャイナタウンにも設けた。同団体によると、これまでに2000人超のボランティア希望が寄せられており、主な利用者は20~40歳代のアジア系女性という。メンバーの一人は「女性の多くは常に誰かに襲われるのではないか、中傷されるのではないかと不安を感じている」と語る。

米国の民間団体「ストップAAPIヘイト」によると、2月末までの過去約1年間に寄せられたアジア系への憎悪犯罪は3795件に上る。そのうち女性の被害者は全体の7割を占めた。カリフォルニア州立大が米国の主要都市を対象にした調査によると、アジア系を標的とした犯罪は2020年、19年に比べて2・5倍に増えた。トランプ前大統領が新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼んだこともあり、感染拡大をきっかけに急増したと指摘されている。

暴行事件の多くは路上や交通機関で発生している。このため、タクシー代を支給するボランティア団体も3月にニューヨーク市で立ち上がった。経済的な理由でタクシー代が出せないアジア系高齢者や女性を対象に40ドル(約4400円)を上限に代金を支払う。米メディアによると、2日間で10万ドルを超える寄付金が集まったという。

全米で最も多くのアジア系が住む西部カリフォルニア州でも、アジア系住民を守る取り組みが広がる。オークランド市で2月、アジア系高齢者らの外出に同行するボランティア団体が設立された。高齢者には英語に不自由な人も多いため、被害にあった場合は警察への報告などで通訳もしている。サンフランシスコ市は3月末、地域の住民とともに高齢者の通院などに付き添う活動を開始した。

アジア系住民が多く住む地域ではニューヨーク市警察が覆面警官によるパトロールを強化している=AP

各地の警察によるパトロール強化の取り組みもある。アジア系への憎悪犯罪の専門捜査チームがあるニューヨーク市警察は6日、覆面のアジア系警察官が容疑者を初めて逮捕したと発表した。覆面の警察官は3月末から、チャイナタウンといったアジア系への犯罪が発生した地域に配備され、重点的にパトロールしていた。

アジア系への暴力や差別に関する抗議集会は今も全米で続く。南部ジョージア州で3月に発生したアジア系マッサージ店への銃撃事件を発端に広がった。米メディアによると、4日に開かれたニューヨーク市での大規模な抗議活動には米人気歌手のリアーナさんも参加した。10日もフロリダ州などで大規模集会が開かれる予定だ。

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