米セキュリティー大手に国家が攻撃 ロシアが関与か

【シリコンバレー=奥平和行】米情報セキュリティー大手のファイア・アイは8日、国家とみられる組織から攻撃を受けたと発表した。顧客の情報システムに攻撃をしかけて安全性を評価するツールが盗まれ、契約先の政府機関の情報を手に入れようとした形跡もあるという。複数の米メディアは同日、ロシアが犯行に関与した疑いがあると報じた。
契約先の企業・団体の情報システムに攻撃を加えて安全性を確かめる「レッドチーム」と呼ぶ社内組織が利用してきたツールが持ち出された。同チームは実際に使われている攻撃の技術を参考にしているが、対策が準備できていない「ゼロデイ」と呼ぶ脆弱性にまつわる情報は含まれていないとしている。
内部システムに侵入して政府機関の情報を入手しようと試みた形跡もあるという。ただ、現時点では情報を持ち出した証拠はなく、流出が判明した際には個別に連絡すると説明している。
犯行に関与した国家については言及していないものの、ケビン・マンディア最高経営責任者(CEO)は「当社がこれまでに対応してきた何万もの攻撃とは異なり、最高水準の攻撃能力を備えた国家による攻撃と結論づけられる」としている。一方、米ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)などは当局がロシアの関与を視野に捜査を進めていると報じた。
ファイア・アイは2004年に発足した有力情報セキュリティー企業で、日本を含む100超の国・地域で事業を展開している。14年にソニーグループの映画会社が北朝鮮とみられる組織から攻撃を受けた際に対応にあたったことでも知られている。