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米共和党で内紛拡大 上院トップが「親トランプ派」批判

【ワシントン=中村亮】米国の共和党で内紛が広がっている。共和党の上院トップ、マコネル院内総務は8日、トランプ前大統領の影響力が強い共和党全国委員会を公然と批判した。11月に実施する中間選挙の勝利に向けて、党内の結束が大きな課題となっている。

全国委員会は4日、共和党のリズ・チェイニー氏など2人の下院議員の非難決議を採択した。2人が2021年1月に起きた連邦議会占拠事件の真相を調べる民主党主導の特別委員会に参加し、トランプ氏の責任を追及しているからだ。米メディアによると、20年の大統領選でトランプ氏の敗北を覆すよう求めた占拠事件などに関し、決議は「合理的な政治議論」と前向きに評価した。

マコネル氏は8日、記者団に対して占拠事件をめぐり「平和的な権力移行の妨害を目的とした暴力的反乱だった」と断じ、全国委員会の決議を批判した。「多数派と異なる考えを持つ議員を糾弾すべきではない」とも語り、チェイニー氏らを擁護した。

米CNNテレビによると、マコネル氏と同じく共和党指導部で主流派のジョン・スーン、ジョン・コーニン両上院議員も身内に打撃を与える非難決議に苦言を呈している。

マコネル氏らの全国委員会に対する不満は事実上トランプ氏に対して向けられていると受け止める見方がある。決議をまとめた全国委員会のロナ・マクダニエル委員長は21年1月、トランプ氏の強力な支援を得て3期目の委員長職を勝ち取った人物だ。トランプ氏の元側近らが決議の作成を主導した経緯もある。

トランプ氏は声明で非難決議について「すばらしい裁定だ」と強調し、マクダニエル氏を称賛。チェイニー氏らを名指しして「彼女らがいないほうが共和党はもっと良くなる!」と訴えていた。

共和党のペンス前副大統領は4日、20年の大統領選の結果を覆す権限が副大統領にあるとするトランプ氏の主張に関して「誤りだ」と反論した。トランプ氏に忠誠心が強かったペンス氏が名指しでトランプ氏を批判するのは珍しい。

共和党にとってトランプ氏の言動に関する賛否を巡って党が割れる流れは、中間選挙に向けて最も避けたいシナリオだ。トランプ氏は自身を支持しない人物を身内でも容赦なく批判するからだ。

たとえば南部ジョージア州のブライアン・ケンプ知事(共和党)に対し、トランプ氏は大統領選の結果を覆さなかったなどと批判。次のジョージア州知事の座を巡り「民主党でも構わない」との見方を示したことがあり、物議を醸した。

中間選挙の投票率は大統領選に比べて低くなりやすい。トランプ氏の発言を受けて同氏の熱狂的支持者が投票を控えれば、共和党にとって本来は獲得できた議席を失うリスクが高まる。民主党のバイデン大統領の支持率は低迷を続けており共和党に追い風が吹くが、トランプ氏との関係構築が共和党の課題に再浮上してきた。

民主党は共和党を揺さぶる。米メディアによると、議会占拠事件を調べる特別委員会はペンス氏の側近やトランプ政権期の大統領報道官に聞き取りを実施。トランプ氏が事件を扇動した証拠を集めて公開し、共和党議員に対してトランプ氏を擁護するのか、それとも批判に回るのかを問う構えだ。

一方で共和党関係者は「国民は占拠事件への関心を失っている」と指摘。民主党が国民生活に直結する物価高や新型コロナウイルス対策よりも事件の追及を前面に出せば、むしろ支持を失う可能性があると分析する。

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