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トランプ氏弾劾裁判、審理開始へ 民主と全面対決

トランプ前米大統領は史上初となる2回目の弾劾裁判に臨む=ロイター

【ワシントン=永沢毅】米議会上院は9日、連邦議会占拠事件を扇動したとして下院が弾劾訴追したトランプ前大統領の弾劾裁判の実質的な審理を始める。退任した大統領が弾劾裁判に臨むのは史上初で、その合憲性などを巡ってトランプ氏の陣営と民主党は全面的に争う姿勢をみせている。

民主、共和両党の上院トップは8日、審理の進め方で合意した。初日の9日はまず裁判の合憲性を議論し、採決を実施する。トランプ氏の弁護団は8日に上院に提出した弁論趣意書で、上院には退任した大統領への裁判権はなく「私人への裁判は違憲だ」と主張。下院民主党が主導した弾劾決議を「政治劇」と批判した。

検察官役となる民主党は上院への文書で「合衆国憲法は任期の終盤に説明責任もないままでの大統領の権力乱用を認めていない」と指摘。退任後でも裁かれるべきだと訴えた。

ただ、議会調査局は公職を離れた後でも弾劾裁判を開くことは可能との見解を示している。閣僚では1876年に戦争長官(当時)が辞任後に下院で弾劾訴追され、上院の弾劾裁判で無罪評決を受けたことがある。

10日から冒頭陳述が始まり、民主党とトランプ氏弁護団がそれぞれ最大16時間を与えられる。3週間続いた前回2020年は最大24時間ずつだった。この後に陪審員役の上院議員からの質疑応答、最終弁論などを経て評決に進む。ここで争点となるのはトランプ氏の発言だ。

1月6日、連邦議会で大統領選の結果を認定する作業が進んでいたさなかに同氏はホワイトハウス近くの集会で演説し「議事堂へ向かおう。私も寄り添う」「もっと激しく戦うべきだ」などと聴衆を鼓舞した。この後に支持者の一部が暴徒化して議会を占拠し、死者5人を出す大惨事を招いた。

民主党はトランプ氏が「演説で政府への暴力的な反乱を意図的に扇動した」と追及する。同氏の弁護団は演説を「(言論の自由などを保障する)合衆国憲法修正第1条で保護されたものだ」と責任を否定し、見解は真っ向から対立する。

トランプ氏を有罪にするには出席議員の3分の2以上の賛成が要る。上院(定数100)は民主、共和両党がそれぞれ50議席で、有罪評決には共和党から17人の造反が必要なため極めてハードルは高い。先に共和党の上院議員50人のうち45人が弾劾裁判は「違憲」との判断を示している。

退任した大統領に有罪評決を下しても、罷免につながるわけではない。ただ、上院は過半数の賛成により有罪になった人物から公職に就く資格を剝奪できる。民主党には2024年大統領選への出馬が取り沙汰されるトランプ氏の復権を完全に絶ちたいとの思惑もある。

米メディアは弾劾裁判が来週中にも結審する可能性があるとの見方を伝えている。弾劾裁判による党派対立が長引けば、バイデン大統領がめざす1兆9千億ドル(約200兆円)にのぼる追加の新型コロナウイルス対策の早期成立に影響を及ぼしかねないと民主党は懸念する。冒頭陳述の時間が前回よりも短くなったのはこうした背景がある。

「大統領が裁判の視聴に多くの時間を費やすようなことはない」。サキ大統領報道官は8日の記者会見でこう述べ、バイデン氏は新型コロナなど政策実現への対応に集中していると説明した。早期に幕引きを図りたい共和党と足並みがそろえば、異例の短期決着となる可能性もある。

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