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米中貿易、手探りの対話再開 制裁・国有企業で溝深く

【ワシントン=鳳山太成、北京=川手伊織】米中両政府が貿易協議を再開した。米国は「第1段階の合意」に基づく輸入拡大を求めたほか、国有企業の優遇など産業政策の見直しも迫った。中国は追加関税や制裁の緩和を訴えた。対話で緊張緩和の糸口を探るが、両国とも相手の要求を受け入れる余地は乏しく、溝は深い。

米通商代表部(USTR)のタイ代表と中国の劉鶴(リュウ・ハァ)副首相が日本時間9日午前、オンラインで協議した。USTRによると、双方は第1段階合意の進捗を検証し「未解決の問題を話し合うことで合意した」という。

2020年2月に発効した第1段階合意は、中国が20~21年に米国からの輸入を計2000億ドル(約22兆円)増やすほか、知的財産の保護を強化するなどと約束した。タイ氏は10月4日の演説で、合意の順守を働きかけるため交渉を再開すると表明していた。

米ピーターソン国際経済研究所によると、8月までの対米輸入は目標の61%のペースにとどまる。このうち航空機や自動車はそれぞれ19%、38%と低調だ。知財保護も以前に「不十分」(USTR)と評価しており、さらなる対策を求めたとみられる。

タイ氏は中国の「国家主導の非市場的な政策や慣行」への懸念も伝えた。国有企業の優遇や巨額の産業補助金など、第1段階合意で対処していない問題にも言及したとみられる。

国有企業をめぐり習近平(シー・ジンピン)指導部は、合理化や改革は必要でも弱体化させないという方針だ。中国の国営新華社によると、中国側は協議で「中国の経済成長モデルや産業政策について立場を明確にした」。米国の見直し要求を拒絶する姿勢を改めて示した。

もっとも中国の抵抗は米国も織り込み済みだ。米政府高官は3日「中国が(産業政策を)変えれば歓迎するが、変えると期待はしていない」と語っていた。

それでもバイデン政権は「直接対話なしには対処できない」(タイ氏)との結論を導いた。USTR高官は8日、協議に先立ち「中国がどう反応するかが重要で、今後の議論に影響する」と語った。協議後の声明によると「率直な議論」を交わしたという。

中国にとっても、再開した貿易協議は米国の出方を探る以上の期待を抱きにくかった。11月には共産党の第19期中央委員会第6回全体会議(6中全会)を予定する。重要会議を前に協議を再開して、対米関係の悪化を危惧する長老らをなだめるという思惑を指摘する声もある。

次回会合の日程は公表しなかった。交渉が停滞すれば、米国は「通商法301条」に基づき、制裁強化を視野に中国の産業補助金を調べるといった強硬策に出る可能性がある。反発する中国が環太平洋経済連携協定(TPP)に傾注し、米国へのゆさぶりを強めることもありうる。

米中は年内にオンラインで首脳会談を開くことで合意した。バイデン政権は気候変動対策で中国との協力も探る。貿易で強硬に出れば、政権が重視する脱炭素で連携が難しくなる。両にらみで慎重に判断する構えだ。

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