米ファイザー、デルタ型対応ワクチン開発 追加接種向け

【ニューヨーク=野村優子】米製薬大手ファイザーと独ビオンテックは8日、新型コロナウイルスワクチンの3回目の追加接種について、変異ウイルスのインド型(デルタ型)に対応する新たなワクチンを開発中であると公表した。8月にも治験(臨床試験)を開始する見通し。デルタ型の感染拡大が世界で深刻になるなかで、ワクチンの効果を高める狙い。
ファイザー製ワクチンは2回接種が基本となる。これまで従来のワクチンを3回目に追加接種する効果について治験を進めてきたが、これに加えてデルタ型に対応する新たなワクチンを開発中という。同社は声明で「従来ワクチンを3回目に接種しても高い効果が得られると考えるが、警戒を怠らず、デルタ型をターゲットにした最新版を開発している」と述べた。
従来ワクチンについては3回目の接種後、体内に生成されウイルスの働きを抑える「中和抗体」が、2回目の接種後に比べて5~10倍に膨らむとの結果が得られている。これは南アフリカ型(ベータ型)に対する効果を検証した結果だが、デルタ型にも同様の効果が期待できると指摘した。すでに治験に入っている従来ワクチンの3回目の追加接種については、治験結果を8月中にも公表し、米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請する見通しだ。
ファイザー製ワクチンを巡っては、デルタ型の感染が広がるなかで有効性が低下しているとの指摘が出ていた。イスラエル保健省はデルタ型の広がりを受け、ファイザー製の有効性が94%から64%に下がったとの研究結果を公表した。ファイザーはこの研究に触れた上で、「有効性を維持するためには、2回目の接種完了から6~12カ月以内に3回目を接種する必要がある」と指摘した。
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