米シルバーゲート、銀行事業清算へ FTX破綻で預金急減

【ニューヨーク=竹内弘文】暗号資産(仮想通貨)関連企業との取引が多い米銀持ち株会社シルバーゲート・キャピタルは8日、傘下銀行の事業を自主的に清算する方針であると発表した。仮想通貨交換業大手FTXトレーディングの経営破綻後に預金が急減。資金流出に対応する資産売却で損失が膨らみ、自己資本比率が規制上の水準を満たさない可能性が出ていた。
8日付のプレスリリースで「最近の業界や規制動向を踏まえ、銀行業務の秩序ある縮小と自主的な清算が最善の道であると考える」と記し、清算計画は「預金の全額返済を含む」と説明した。清算の時期などの詳細は明らかにしていない。
傘下銀行のシルバーゲート銀行は1988年設立。2022年末時点の預金総額は約63億ドル(約8600億円)。13年ごろから仮想通貨にカジを切り、仮想通貨関連企業の預金を積極的に受け入れたほか仮想通貨の投資家向けにドル決済システムを提供した。14〜22年9月に預金は約30倍に膨らんだが、22年11月にFTXが破綻すると預金引き揚げの動きが加速した。
10〜12月期に仮想通貨に関連する企業・投資家の預金は7割減となった。資金流出に対応するため債券など有価証券の売却を急ぎ、損失が発生。中核的自己資本(ティア1)ベースの自己資本比率は22年末時点で5.12%と規制が求める「5%以上」に迫っていた。
23年に入ってからも債券売却損は生じ規制水準を満たさなくなった可能性があるとして、3月1日には「継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン)」への影響を吟味するため年次報告書の提出延期を発表していた。8日の発表を受けて、時間外取引では株価が同日終値比3割程度下回る水準で推移している。
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